連載
神尾寿の時事日想:
楽天オークション、ミュージックチャネル、Napster提携に共通する狙いとは?
共同で「楽天オークション」を立ち上げ、先行するYahoo!+auを追う、楽天とドコモ。そこには、コンテンツプラットフォームの提供に徹する従来のiモードモデルから、キャリア自身が先導してコンテンツサービスを提供する新しいモデルへと転換を図ろうとするドコモの狙いが見える。
11月13日、楽天とNTTドコモが共同出資する楽天オークションがPC向けオークションサイトをオープンした(11月13日の記事参照)。20日にはiモード版も公開する(11月13日の記事参照)。楽天オークションではエスクローサービスを標準の取引方式とし、iモード版ではSNSの要素も取り入れる。ドコモの「安心・安全」ブランドイメージとユーザー規模の大きさと、楽天のECにおけるノウハウを融合。この分野で先行するYahoo!とauを追撃するという。
ドコモは今年に入ってから、HSDPA向けの「ミュージックチャネル」、PCと連携したサブスクリプション制音楽配信「Napster」との提携、そして今回の「楽天オークション」と新たなコンテンツサービスを投入しているが、ここには共通の方向性がある。それは、自らが作り出した“iモードモデル”からの脱却だ。
キャリア主導のコンテンツサービスが今後の主流に
1999年の登場以降、日本の携帯電話コンテンツ市場を牽引してきたiモードは、今も巨大な市場規模を誇る。しかし、そのビジネスモデルの基本はパケット料金の従量課金制を前提にしており、はっきり言えば古くさくなっていた。キャリアはコンテンツプラットホームの提供に徹して、コンテンツプロバイダーの自由な競争環境を提供して「WIN−WIN」の関係を築くという“iモードモデル”は、パケット料金定額制と、高速・大容量通信時代にそぐわなくなってきていたのだ。
このiモードモデルからの脱却をいち早く行ったのが、3G移行で先行したauである。同社はパケット料金定額制の導入後、地図や音楽、オークション、SNSなど様々な分野で強い企業と提携をし、auが提供主体となるコンテンツサービスを積極的に開発・投入してきた。コンテンツプラットフォームの提供だけから一歩踏み込み、キャリア主導のコンテンツ提供体制に変革したのだ。これが同社のパケット料金定額制加入率やデータARPUの高さ、手数料収入の増大に貢献している(7月21日の記事参照)。
ここ最近のドコモの動きは、この“auモデル”を上手に取り込み、iモードを変化させるというものだ。さらにNapsterや楽天オークションがPC向けサービスとの連動・展開に力を注いでいるのは、ソフトバンクモバイルがYahoo!連携を進めていることへの対策でもある(9月29日の記事参照)。
ドコモ執行役員の夏野剛氏は最近、「死角なし」というフレーズをよく使う。逆説的だが、これは昨年までのドコモの端末やコンテンツサービスに「死角が多かった」ということでもある。おサイフケータイでは革新的な取り組みを続けるドコモだが、iモードモデルの変革、定額制時代のコンテンツ・メディア体制作りでは出遅れていた。むろん、そこにはFOMAの展開や高速化に時間がかかったという外的要因もあるが、それ以上に、iモードの巨大な成功体験から抜け出すのに時間がかかったという事情もあるだろう。
しかしここにきて、iモードは急速に変わってきている。今後ドコモはさらにネット企業やメディア企業と戦略的な提携を推し進め、キャリア主導型のコンテンツ・サービスを増大。ドコモの資金力とユーザー規模の大きさを背景に、auのキャッチアップとYahoo!包囲網の構築を急ぐだろう。
新時代のiモードがどうなるのか。それはauやソフトバンクモバイルとの競争だけでなく、コンテンツやメディア、ネットビジネスの新たな姿を知る上でも注目である。
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[神尾寿,ITmedia]
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