誠

プリンタ用表示
連載

Interview:

トヨタとドコモが同じ夢に向かう――トヨタファイナンスの戦略(後編) (1/3)

インフラや方式の囲い込みで競争をしても無駄、まずは自社がリスクを取り、FeliCaクレジット市場のパイを拡大する――実はドコモのスタンスと共通するところがあるというトヨタファイナンスに、QUICPayを推進する理由を聞いていく。
2006年09月19日 12時02分 更新

 →QUICPayに本腰を入れる理由は?――トヨタファイナンスの戦略 (前編)

 9月12日、トヨタファイナンスがFeliCa決済の本格展開について発表した(9月12日の記事参照)。同社は従来から推してきたQUICPayを、おサイフケータイだけでなく一体型カードとしても本格展開。TS3ユーザー560万人をすべて移行させる施策をとる。クレジットカードの更新分もQUICPay一体型に切り替える方針であり、今年度中に85万人、その後は1年で100万人のペースでQUICPayユーザーを増やす計画だ。さらに年内にはQUICPayとiDの共用端末を設置、将来的にはiDをオプション提供するなど、iD陣営とも手を結ぶ。

 今日の時事日想は特別編として、トヨタファイナンス執行役員総合企画部長の後藤清文氏と、トヨタファイナンス カード本部カード企画部長の宮本淳志氏のインタビュー後編をお届けする。

ay_kamio.jpg トヨタファイナンス執行役員総合企画部長の後藤清文氏(左)、カード本部カード企画部長の宮本淳志氏(右)

トヨタファイナンスにとってのQUICPay

 トヨタファイナンスは「モバイル決済推進協議会(MOPPA)」の一員としてQUICPayを推進。今年4月、JCB以外のイシュアとして初めてQUICPayに対応した。トヨタファイナンスにとって、QUICPayはどのような位置づけなのだろうか。

 「QUICPayは“メインカード化への切り札”だと考えています。我々はETCカードが強いのですけれども、ETC利用率の高いお客様はTS3がメインカードになっている比率が非常に高いんですね。QUICPayはETCと同じ位置づけといえます」(後藤氏)

 TS3はメインカードとして利用される率がもともと高いが、それをさらに進めるのがQUICPayだという。むろん、その中で重要な分野となるのが、少額から中額にかけての決済市場だ。

 「(メインカード化の)ポイントは“少額”と“スピード”です。ここは従来型のクレジットカードだと使いにくく、加盟店の導入意欲や利用意欲もあまり刺激できませんでした。しかし、トヨタファイナンスとしては、クレジットカードは少額から高額まですべての領域で使ってもらうのが基本だと考えています。そこで決済スピードが速く、(少額から中額での)利便性を高められるQUICPayに注目したのです」(宮本氏)

 決済スピードが速く、その利便性の高さによって少額から中額決済での利便性を劇的に高める。それはQUICPayだけでなく、iDやスマートプラスにも共通するメリットだ。これら3つのFeliCaクレジット決済方式の中から、トヨタファイナンスがQUICPayを選択した理由は「オープン性」(宮本氏)だという。

 「“オープン”というのは、VISAやMASTER、JCBなど複数のブランドに紐付けできる。また、対応するおサイフケータイも3キャリアすべてであるという点です。我々は(FeliCa決済が)クレジットカードに“なければならなかった”基本的な機能だと考えているのです。

 それぞれの利用シーンに応じて、ETCで使い、QUICPayでも使う。それらの利用額はすべてクレジットカードのポイントとして貯まっていくのです。すると、ポイントを“貯める”“使う”でメインカード化のサイクルが循環する。我々はこれをVのサイクルと呼んでいます」(宮本氏)

 むろん、その先には「クレジットカード市場のパイを大きくする。新しいマーケットを作る」(後藤氏)ことがある。トヨタファイナンスの基本コンセプトは“クレジットカードを生活シーンで使う”であり、その裾野を広げるツールとして、QUICPayは選ばれたのだ。

 また、将来的にはドコモと三井住友カードの推すiDをオプション選択できるようにするという決断も(9月12日の記事参照)、1つのFeliCaクレジット方式にこだわらず、ユーザーの利便性を上げてクレジットカードの利用率を向上させる考えからだ。これはイシュアとしての当然の判断と言えるだろう。

       1|2|3 次のページへ

[神尾寿,ITmedia]

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.