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公共交通事業者が、地域社会の安心のために何かできないか――PiTaPaグーパスに聞く (1/3)

児童が巻き込まれる悲惨な事件が頻発している昨今、子どもの安全を確認したいというニーズはとても大きい。半年で1890円という利用しやすい値段で親に安心を提供する「PiTaPaグーパス」は、“公共交通にできる地域の安心とは?”という思いから生まれたサービスだ。
2006年08月31日 22時31分 更新
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 日本初のポストペイ(後払い)型FeliCa乗車券サービスとして、様々な取り組みを行う関西のPiTaPa。利用者の声にしっかりと耳を傾け、考え抜かれたサービスであることは、以前のインタビューで紹介した通りだ(インタビュー記事、前編後編)。また、PiTaPaは、立命館小学校の児童証システムと連携するなど、ユニークな取り組みも多々行っている(6月7日の記事参照)

 今日の時事日想は特別編として、PiTaPaの活用サービスの1つである「あんしんグーパス」にフォーカス。PiTaPaグーパス株式会社の課長である河野俊幸氏に、サービスの現状と今後の展望について話を聞いた。

月額換算315円で、手軽に「安心感」を提供

 PiTaPaの「あんしんグーパス」とは、子どもが通学時に駅の改札機を通ると、その都度、保護者の携帯電話にメールで通過情報が届くセキュリティサービスだ。

 現在、あんしんグーパス対応路線は、大阪市営地下鉄、阪急電鉄、京阪電車や阪神電車など関西主要の12路線。利用対象者は小学生と中学生で、料金は6カ月につき1890円(税込み)だ。現在1300人の利用者がおり、「当初予定の1.5倍のペースで加入者が増えている」(河野氏)という。

 「我々のサービスは“安心感”を提供しているものでして、利用拡大には保護者様の口コミが大きく貢献していますね。TVCMや駅での広告などはまるでやっていないのですが、保護者様にご評価いただいて、利用者が増加しています」(河野氏)

 あんしんグーパスのポイントは、すでに存在していた「PiTaPaグーパス」の仕組みを使っていることだ。PiTaPaグーパスは、事前に登録したPiTaPaをかざして自動改札を通過させると、乗客の携帯電話に情報が配信されるというサービス。ユーザーの年齢や性別、乗降駅などに基づいて、カスタマイズされた情報が届くようになっている(2004年7月27日の記事参照)

 PiTaPaグーパスの仕組みを転用することにより、あんしんグーパスは月額換算315円という安価な値段で、手軽なセキュリティサービスを実現している。またGPSを使った個人用セキュリティサービスと異なり、保護者側が何もしなくても、子どもが「いつもの駅を通過する」度にメールで情報が送られてくるところがポイントだ。保護者は手軽に、子どもがきちんと通学できていることを確認できる。

 「学校側やPTAの方々にもご理解をいただいておりまして、学校で説明会をさせていただくこともあります。そこでも月額にすれば315円で使えて、しかもすでにお持ちの携帯電話やPiTaPaカードが利用できるという手軽さの部分にご評価をいただいています。あんしんグーパスのような(セキュリティ)サービスは、やはり実際にお使いになっているユーザーさんの声が、普及に大きな役割を果たしています。やはり口コミで評価していただけるのがポイントになりますね」(河野氏)

 あんしんグーパスはPiTaPaグーパスの応用例として始めたが、「お客様のニーズの高さには手応えを感じている」(河野氏)という。

photo あらかじめ登録しておいたPiTaPaを持った児童が、家や学校の最寄り駅の自動改札を通過すると……
photo 保護者のところにメールが届く。保護者側から能動的に子どもを探さなくても連絡が来る点が使いやすいという
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[神尾寿,ITmedia]

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