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Interview:

3Gエリアの強さはauの武器――KDDI au九州支社に聞く(前編) (1/2)

ドコモのシェアが全国平均よりも高い九州地区。番号ポータビリティを前に、auは何を強化して戦っていくのか? KDDI au九州支社長の東尾重信氏にインタビューを行った。
2006年08月21日 18時07分 更新

 全国にはドコモが強い地域がいくつかある。例えば四国はTCAの地域別集計で、ドコモのシェアが60%を超える“ドコモの砦”の1つだ。そして、今回取り上げる九州もまた、他地域よりドコモが強い。TCAの地域別集計では、ドコモのシェアが58%、auが28%、ボーダフォンが14%になる(※1)。ドコモにチャレンジするauにとって、これらドコモが強い地域の攻略は、重要なミッションになるだろう。

※1 auは沖縄セルラーの契約数を九州地域に合算し、ドコモ・ボーダフォンと事業エリアをあわせて計算した。

 そこで今日と明日の時事日想は特別編として、KDDI au九州支社長の東尾重信氏にインタビュー。ドコモが強い地域で、auはどのようなマーケティングを行うかについて聞いていく。

ay_kddi01.jpg KDDI au九州支社長の東尾重信氏

「九州はドコモが強い」、その理由

 上述の通り、九州はドコモが強い地域だ。その理由としてau九州支社が指摘するのが、ドコモの解約率が低い点である。

 「auは沖縄を除く9地区でドコモと戦っているのですが、九州はこの9地区の中で最もドコモの解約率が低い。ですから(ドコモからauへの)流入分が取りづらい状況です。また新規契約市場も他地域に比べて小さくなっている」(東尾氏)

 九州地域は契約者の流動がそもそも少ない。特にドコモではユーザーが固定化する傾向がある。そのためauとしても、まずは解約率を低くして自らのシェアを守ることを重視している。具体的には、auショップで解約の申し出があった場合、「解約の理由を聞いて、(サービスや料金に)お客様の考え違いがあるようならば、翻意していただくようにしている」(東尾氏)という。この結果、auの解約率も改善している。

 さらに東尾氏は、解約率以外でドコモが強い理由として、九州地域の販売構造と、その中でのドコモの優位性を指摘する。

 「九州の販売構造は“専売店”と“量販店”に二分されます。関東にある“併売店”が九州にはほとんどない。さらに専売店にはドコモの強い囲い込みがあります。これは歴史的にドコモ九州がとってきた施策のようなのですが、ドコモの専売店を営む販売代理店は、他のキャリアショップを持てない。(シェアの大きい)ガリバーがそういった方針をとるので、我々もそのルールに従わざるを得ないのが実情です。キャリアによる専売店の色分けが起こってしまっているのですね」(東尾氏)

 また、ドコモ九州の専売店構成を見ると、地場企業の開拓と獲得が多いという特徴がある。地域に密着した販売代理店を強く囲い込み、その地域での高い販売力を得ているのだ。

 しかも九州地域は専売店の販売比率が高く、auでも「専売店の販売比率が6割を超える」(東尾氏)。関東や東海、関西に比べると、量販店の影響力が小さく、併売店はほとんどない。専売店の力の差が、シェアの大きさや解約率に直結するのが、九州地域の特徴と言える。

九州は「エリア重視」の傾向がある

 このように販売インフラ、そして解約率の低さでは、ドコモの強さが表れている。だが、九州地域でauが一方的に不利かというと、そうではない。この地域にツーカーがないこともあるが、九州におけるauは、全国平均よりも高いシェアを獲得している。この要因として東尾氏があげるのが、auの「3Gエリアでの強さ」だ。

 「九州はエリアを重視するユーザーが多い傾向があります。auが九州で全国平均より高いシェアを獲得することができたのも、『3Gエリアではドコモよりも先を行っている』という要素が大きいですね。着うたフルなども評価されていますが、その前提として、CDMA 1X WINなど(先進の)3Gエリアが充実している部分がありました」(東尾氏)

 周知のとおり、ドコモは全国的にFOMAエリアの改善を行っており、今年9月には「ムーバよりつながるFOMAになる」と確約している(7月12日の記事参照)。しかし今年の夏商戦、そしてMNPが開始される秋に向けては、auのエリアでの優位性が続くと、東尾氏は話す。

 「FOMAのエリアは侮れなくなっているとは感じています。ですが、まだauの3Gエリア並みにFOMAのエリアが整備されたとは思っていません。(お客様の)イメージ的にもauのエリア優位性が生きています(2005年11月16日の記事参照)。さらに我々は、800MHz帯は再編が控えているにも関わらず、今年度の設備投資でもこの旧800MHz帯の基地局整備を続けているのです。エリアの拡充を続けており、ピンポイントでお客様にPRをしています」(東尾氏)

 基地局整備、エリアの拡大というと、最近ではドコモのFOMAの取り組みが注目されがちだ。しかしauでも、「3Gエリアの強さはauの武器」(東尾氏)だ。ユーザーのイメージだけでなく、実質の部分でもエリアの優位性をキープしたい考えだ。

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[神尾寿,ITmedia]

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