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神尾寿の時事日想:

ソニー「mylo」に、携帯IMの可能性を感じた

インスタントメッセージング(IM)に特化し、音楽再生機能を追加した新しいデバイス「mylo」。この魅力的なデバイスを見ていると、音声通話、メールの次のモバイル向けコミュニケーションは、IMかもしれないと思えてくる。
2006年08月09日 11時27分 更新

 8月7日、米Sony ElectronicsがWi-Fi通信機能とエンターテインメント機能を持つ携帯デバイス「mylo」を発表した(8月8日の記事参照)。myloとは「my life online」という意味で、インスタントメッセージング(IM)を主な通信・交流手段とするユーザー向けに設計された端末だという。

 筆者はこのmyloのプレスリリースを読んで、それだけでストレートに「欲しい」と感じた。個人的な見解で恐縮だが、W-ZERO3 [es]よりも“ソソる”コンセプトであり、プロダクトだと思う。

 何よりも感心したのが、これが従来型の携帯電話でも、スマートフォンでもない点だ。音楽機能が搭載されているが、メインは「携帯IM端末」。新たなカテゴリーへのチャレンジである。

 もちろん、これまでもスマートフォンや携帯電話アプリでのIM利用は可能だったし、「Skype対応のWi-Fi携帯電話」も開発された。しかし、それらはあくまで携帯電話の延長線上にあるコンセプトとデザインだった。

 一方、myloはIMの世界観から作られたモバイル端末であり、これら電話機の延長線上にあるプロダクトとは一線を画す。myloに近いコンセプトとしては、ネット端末という位置づけでGoogle Talk搭載の「Nokia 770 Internet Tablet」があるが、myloの方がコンシューマー向けでより幅広い層にアプローチできるだろう。急速にIM利用が増加する米国の若いPCユーザーのライフスタイルにあったコンセプトとデザインである。

日本でも積極的に“携帯IM”の模索をしてほしい

 1999年のiモード登場以降、日本市場では若い世代や女性の間で携帯メールがテキストチャットのように使われてきた。そのため携帯メールとIMの違いを打ち出し、新たなコミュニケーションサービスとして根付かせるのが難しいという意見はあるだろう。さらに携帯電話キャリア(そして固定電話キャリアも)の中には、Skypeなどボイスチャット機能を持つIMに批判的・懐疑的な関係者は少なくない。

 しかし今後、IMが電話とメールに続く、第3のコミュニケーションサービスになるのは間違いない。IMが持つテキストチャット・ボイスチャット・映像チャットのサービスは、まずはPCインターネットで一般的なサービスになり、その波は遠からずモバイルの世界にも達するだろう。

 そして、思い出してほしい。コミュニケーション手段の主役として「電話ではなくメール」を選んだ世代が現れたように、今後、コミュニケーションの主役として「メールではなくIM」を選ぶ新しい世代が登場する可能性がある。

 日本市場の現在を考えれば、myloのような携帯IM専用端末の投入は、キャリアとメーカーにとってリアリティがないかもしれない。しかし、PCでIMを使うユーザーは着実に増えており、ボイスチャットやビデオチャットの利用も増加している。PCの世帯普及率が向上したことで、小学生や中学生でIMの利用経験者が増えていることも無視できない。

 日本の携帯電話キャリア・メーカーは、携帯IMの世界について、そろそろ本腰を入れていい時期だと思う。PCで主流のIMと完全な互換性を持ち、その上でデスクトップ画面や電話帳にプレゼンス情報が表示されるなど携帯電話の端末機能と密接に融合するとさらにいいだろう。ボイスチャットやビデオチャットの利用も積極的に後押しする価値がある。それらは本質的に従来の電話サービスと競合するものではなく、むしろ新たなコミュニケーションサービス/ビジネスの可能性を広げるものだからだ。また端末においても、myloのように携帯IMの利用をコンセプトの主軸においた変化をしてもいいと思う。

 最後に、まったくの個人的な気持ちだが、やっぱりmyloが今すぐ欲しい。今の日本市場への投入は、ビジネスとしては冒険的かもしれないが、日本向けにも発売されないだろうか。日本のIMユーザーは歓迎すると思うのだが。

[神尾寿,ITmedia]

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