加盟店にとって、スマートプラス導入のメリットとは――UFJニコス(中編)Interview: (2/2 ページ)

» 2006年07月27日 05時37分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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 これらに含まれない分野として鳴川氏が例に挙げたのが、高額な商品を扱う、高級ブティック、宝飾店、高級レストランといった店舗だ。こういった店舗に対しては、接触ICカードへの対応を進めているという。「高額商品を取り扱う業態では、秒単位のトランザクションは全く必要ない。カードで決済していただけばいい。実際にスマートプラスも(購入金額が3万円を越えれば)すべての決済がオンラインになってしまい、プラスチックカードで決済するのとスピードが変わらないのに、高いインフラを入れる意味が見いだせない。また、非接触IC決済が高級感を損なう可能性もある」

 このようにUFJニコスでは“店舗にとって入れるメリット”を重視する。例え全国チェーンで名前が知られたところでも、入れるメリットが見いだせなければ再考を促す、というスタンスだ。「うちの理論で無理矢理スマートプラスを入れていただいても、結局使われなくなってしまうのがオチだし、プロモーション効果も見込めない。店舗にとって、クレジットカード/非接触IC決済を入れる意味があるところにだけ導入させていただきたいというのが我々の考え」(鳴川氏)

「提携カード」を軸にする理由

 どんな店舗にスマートプラスを展開していくか。その軸として、UFJニコスがもう1つ重視しているのが“提携カード”だ。もともと日本信販時代から、同社では企業との提携カードや会員型カードなど、さまざまな提携カードを発行しており、提携カードはUFJニコスの大きな武器であり、特徴にもなっている。

 現在、UFJニコスでは約1000種類の提携カードを発行しており、会員数は2000万人に上る。特に期待しているのが、提携カードを発行しているスーパーやドラッグストアチェーンや、莫大な会員数を持つガソリン系の提携カードだ。「提携カードを持っているお客様というのは“そこで買い物をしますよ”と宣言してくださっているようなもの。ある程度の利用率を見込めるので、子カードとしてスマートプラスを入れる意味が大きい」

 提携カードを軸にする展開としての好例が、セルフ式ガソリンスタンドへの導入だ。昭和シェル石油系列や(6月26日の記事参照)、新日本石油系列のガソリンスタンドで(7月19日の記事参照)スマートプラスの導入が決まっている。UFJニコスは、昭和シェル石油とも新日本石油とも提携カードを発行しており、“提携カード会員へのサービスの一環”という位置付けになっている。

 鳴川氏が何度か口にしていたのが「使ってもらえなければ意味がない」という言葉だ。「提携カードを使っている人が、スマートプラスを使って素早く決済できること、それは提携カードユーザーに対するサービスになる。スマートプラスが子カードという位置付けなのは確かだが、単にカードインフラのリプレースとして非接触(=スマートプラス)を入れたら負けだと思う。わざわざ高い端末を入れるのだから、使ってもらえるところに入れなくては。せっかくお店に入れても、使われずにホコリをかぶっていたり、おつりを置く皿代わりに使われていたりしたのを見たときは涙が出そうだった(苦笑)」

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