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Taipei Telecom 2006:

台湾のCDMA 2000とPHSの現状

W-CDMA/GSM事業者が華やかなサービスや高性能の新端末を続々と投入する一方で、CDMA 2000、PHSの事業者は加入者増に悩んでいる。両陣営の現状をTaipei Telecom 2006の会場で探った。
2006年07月18日 18時01分 更新

GSM/PHSデュアル端末化を進める「大衆電信」のPHS

photo 大衆電信ブース。最新端末「PG1900」を大きくアピール

 サービス開始から5年が経ち、利用者も100万人を突破した台湾・大衆電信のPHS。これまでは基本料金無料で順調に利用者を増やしてきた。

 しかし昨年末にその施策も廃止され、基本料金が必要となったという点でライバルの携帯電話と大きく変わらないものとなってしまった。そこで電磁波の影響の低さを特徴とするPHSを「健康にやさしい」としたキャンペーンを展開するとともに、サービスエリアの拡大、および非サービスエリアをカバーするためにGSMとのデュアル端末を投入し、利用者増に努めているのが現状だ。なおデュアル端末は現時点で3機種が投入され、同社のメインストリーム機となっている。

 一方で携帯電話と比較すると弱かった端末のバリエーションや機能についても、音楽再生機能やデザインを一新した最新機種「PG1900」が投入され、携帯電話に見劣りしないスペックの端末がようやく登場している。

 PG1900はOKWAP製のGSM/PHSデュアル対応端末だ。GSMは900M/1800M/1900MHzの3バンドに対応する。130万画素カメラやMP3再生機能、FMラジオ、赤外線通信、Bluetoothなどを搭載し、ボディサイズは48(幅)×97.5(高さ)×23(厚さ)ミリ。折り畳み式のボディーは携帯電話ライクで、メインディスプレイも2インチと大型化されている。加えて、サブディスプレイに有機ELを採用し、ディスプレイ下には音楽再生キーを備えることで閉じたまま音楽プレーヤーとしても利用できるようになっている。なお、音楽ファイルはminiSDカードに保存できる。会場では発売に合わせ、特別価格での販売や限定の基本料金無料キャンペーンなどが行われていた。

 また、端末のバリエーションを増やす目的で発売を予定する新たな2機種も展示されている。

 「I92」は厚さ9.8ミリのストレート形状を採用するデザイン端末。重量も59グラムと軽量だ。キーパッドはモトローラのRAZRライクなメタルシートキーを採用し、ブラックとホワイト、ピンクの3色を用意する。「A91」はローコストな音楽PHSという位置づけの端末。約57Mバイト(使用可能領域)のメモリを内蔵し、キーパッドの十字キーが音楽再生キーになっている。記録したMP3データを着信音にする機能なども用意し、手軽な音楽プレーヤーとしても利用できるのが特徴。双方とも、年内に発売予定としている。

photo 「PG1900」。見た目や機能は携帯電話に近い。音楽再生やBluetoothなど、機能も充実している端末だ
photo 厚さ9.8ミリ、重量59グラムのデザイン端末「I92」(左)。若者向けというセグメントの音楽端末「A91」(右)。いずれもOKWAP製

「APBW」のCDMA 2000は端末に課題

 CDMA 2000事業者、APBW(亜太行動寛頻電信)は、GSM/W-CDMA事業者に先駆けてコンテンツサービスを充実させ、それをサービスの柱としてきた。2006年3月からBREW対応のサービス「Qma Plus」も開始している。

 しかし端末のラインアップが中国や台湾のマイナーメーカー品に偏ってしまったことや、端末の高機能化が遅れたことなどからユーザーの伸びはやや足踏み状態が続いている。現在のユーザー数は約90万人とのことだ。

 そのため同社は、2006年春からMotorolaのCDMA版「RAZR V3c」や、アジアで人気の高いSamsung端末を投入することでラインアップの拡充を図っている。また定額制通話料金制度の導入や、グループ企業のADSL基本料金免除など、料金面でも強さをアピールする。

 しかしBREW対応端末がまだまだ少ないことや、コンテンツにも目新しさが感じられないことなどから、サービス面でW-CDMA事業者と比較するとどうしても見劣りする。加えてメガピクセルカメラや大画面液晶など、高性能な端末がラインアップにないことからも来訪者の反応は今ひとつといった印象を受けた。

 「Motorolaの“RAZR V3c”がもっと早く出ていればAPBWを利用したかもしれないが、W-CDMAやGSMのほうが今では端末の種類が圧倒的に多い」と来訪者の1人が語っていたが、今後はサービスのみならず、端末のバリエーションを拡充することが早急に必要だと感じた。

photo APBWは今年も親会社APTG(Asia Pacific Telecom Group)との同時出展となっている。イベントでの目玉はやはりMotorola「RAZR V3c」だ
photo ブース内に掲示されていたキャンペーンポスター。端末の「無料」、Samsung端末が格安、ADSL料金割引など、価格面でのアピールがほとんどだった

後から忍び寄るMVNOの新規事業者

 このように台湾のCDMA 2000、PHS両事業者はサービスや端末の拡充を図るとともに、料金面でも端末価格や通話料の引き下げなどでW-CDMA/GSM事業者と競争していくことになるようだ。しかし、新規参入したばかりのMVNO事業者も低料金を武器にシェア拡大に動きだしている。

 2006年4月にMVNO方式で事業参入したAURORAは、台湾全土にチェーン店を持つ携帯電話販売の大手で、2005年12月に新規参入したVIBO Telecomの回線を利用するW-CDMA事業者だ。

 AURORAの料金プランは「基本料金・永久無料」と「NT$888/月」の2つのみ。基本料金の永久無料はPHS事業者の大衆電信が昨年末に廃止したばかりだが、AURORAはそれを逆手にとり「唯一の基本料金無料事業者」であることを大きくアピールしていた。

 投入を予定する端末は、中国メーカー製品のほかに薄型のMotorola「RAZR V3x」やLG「U8500」、スタイリッシュなSony Ericsson「K608i」など、後発ながらも先行事業者に負けず劣らず最新機種を揃える。もちろんすべてW-CDMA機種だ。長期契約により端末価格分を通話料金で還元するなど、端末の「実質無料」的なサービスも開始している。

 AUROAの「低料金+最新機種+端末実質無料」の戦略は多くのユーザーから歓迎されているようで、同社ブースには来訪者が絶え間なく訪れていた。派手なサービスはないものの、基本機能しか利用しない利用者にとっては十分。AURORAの事業参入は、料金と端末ラインアップの両面で、CDMA2000、PHS両事業者にとって強力なライバルが出現したことになったといえる。

photo 新規参入したばかりのMVNO事業者「AURORA」。こじんまりとしたブースだが、来訪者は多かった。基本料金無料やLGの最新薄型端末が実質無料などが人気となっていた

[山根康宏,ITmedia]

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