W-ZERO3導入事例――ハイデルベルグ・ジャパンに訊くWindows Mobile ビジネス活用講座――第4回(2/4 ページ)

» 2006年06月20日 00時00分 公開
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 ハイデルベルグ・ジャパンでは印刷機械の故障修理やメンテナンスに携わる、200人以上のサービスマンが働いている。サービスマンの主な仕事は、故障の連絡を受けて客先に行き、修理を行うことだ。

 SAPでは修理に必要な部品の在庫データや作業内容、サービスマンの勤怠情報まで管理している。サービスマンにとって必要なデータはほとんどすべてSAPに入っているが、従来は社外からSAPにアクセスする手段がなかったため、コールセンターを置き、電話と紙ベースで運用を行っていた。

3週間かかっていたプロセスを、3日以内に短縮

photo ハイデルベルグ・ジャパンサービス本部本部長の穂積耕二郎氏

 mService導入前の、具体的なワークフローを見ていこう。まず、客先から修理の依頼が入ると、コールセンターからサービスマンの携帯電話に電話が入る。コールセンターでは、客先の場所、時間、依頼の概要などを口頭で伝える。修理に際して、どんな部品が必要で、どのような修理を行うことになるか、また過去数回、依頼先でどのような修理を行ってきたかをコールセンターに照会してもらいながら電話で相談した後、サービスマンは客先へ出かけ、修理作業を行う。作業終了後はレポートをその場で手書きし、顧客のサインを受け取ったらレポートをいったん提出して帰社し、さらに追加データを書き込んだレポートを作成する。レポート作成後、さらに納品書・請求書を打ち出してSAPに入力して終了する。ここまで大体、14〜21日くらいかかっていたという。

 mServiceを導入したことで、業務のフローはどのように変わったのだろうか。

 まず、客先から修理の依頼が入ると、サービスマンの持つW-ZERO3にメールが入る。そのメールには、客先の場所、時間、修理の概要が書かれている。その後サービスマンの手元に、その依頼先でどのような修理が行われたか、過去数回分の修理データが届くので、サービスマンはそれを見て客先へ出かけ、修理作業を行う。作業終了後はW-ZERO3を使い、その場で修理内容をデータベースへ登録すると、レポートが作成される。そのレポートを顧客に見せ、スタイラスを使ってW-ZERO3で手書きでサインをしてもらうと、メールまたはファックスで、顧客へレポートが届く。作業終了からここまでで1時間、時間がかかっても数時間で、その日のうちにレポート提出までが完了するという。その後は会社に戻ったあとに納品書・請求書の発行などの経理処理を行うことになるが、従来のように処理が月末に固まるということがなくなることもあり、3日以内での処理を目指しているという。従来2〜3週間かかっていたプロセスが、3〜4日以内に短縮できる見込みだ。

 mService導入の一番の目的は、このプロセスと時間の短縮にあるが、その他にも、補修パーツの管理がリアルタイムにできるようになってタイムラグがなくなる、料金の回収効率が上がる、月末の経理処理が軽減するといった効果が見込めるため、投資したコストは1年くらいで回収できるという予測に加えて、副次的効果も大きく期待できるとのこと。現在の予測では、サービス部門で約10%、バックオフィスを含めると全体で約18%の業務効率アップが期待できる、と穂積氏は見ている。

photo mService導入前と導入後のワークフローを比較

 取材中最も印象的だったのは「導入する側も使う側もメリットがあり、サービスマンが喜んで使っている」という話だった。新しいシステムを導入する場合、導入する側は熱心でも、それを使う側の立場の社員は「押しつけられている、使いにくい」と思うケースが多い。

 しかしmServiceの場合、米国で導入後に社内でインタビューを行ったところ「便利だ」「仕事がしやすくなった」と非常に好評で、まだ利用していないサービスマンは「早く自分も使いたい」と話しているという。不満点として挙がったのは「電波が100%カバーできていないところがある」という点くらいだったというが、その点についても黒澤氏は「日本ではPHSを使っているので、電波が入りにくい場合はウィルコムからホームアンテナを借りれば電波状況がすぐ改善される。小回りがきくので安心」と話す。

photo mService利用イメージ

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年6月30日