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BREW 2006 Conference:
完全デジタルの放送局──MediaFLO放送施設を見た (1/2)
米MediaFLO USAは、5月15日に移転したばかりの新社屋と放送施設、National Operations Center(NOC)を公開した。10月1日までに完全な放送体制を整える。
米MediaFLO USAは、5月15日に移転したばかりの新社屋と、社内に用意された放送施設、National Operations Center(NOC)を報道関係者向けに披露した。
10月1日までに放送を開始できる体制を確立
MediaFLO USAは米Qualcommの子会社で、同社の携帯電話向け放送サービス、「MediaFLO」を米国で展開する放送事業者だ。米国では既にVerizon Wireless(全米2位の携帯電話事業者)が、MediaFLOを使った放送サービスを年内にも開始する計画を発表している(2005年12月2日の記事参照)。サービス開始後は、このNOCが映像コンテンツの準備と放送、そしてユーザーサポート業務を受け持つことになる。
なおMediaFLO USAのNOCは、Verizon専用の施設ではなく、今後ほかの事業者がMediaFLO放送を始めれば、同じ施設を拡張してサービスを提供する。Verizonのサービス開始時期は明かされていないが、MediaFLO USAは10月1日までに完全な放送体制を整える予定だという。
NOCは完全デジタルの放送局
NOC施設を案内するMediaFLO USAのビジネスオペレーションズ担当副社長のグリン・スパンゲンバーグ氏MediaFLOは、これまでの通信系のコンテンツサービスと異なり、放送系のサービスだ。それだけに本サービスでは本格的な施設が必要になる。これまでたびたび行われていた技術デモでは、サービス開始に向かって前進しているという実感が湧きにくかったが、MediaFLO USAのNOC公開で、一気に現実味が増した。
NOCはMediaFLO放送の中心となる施設で、ここで用意された番組は、全米各地に用意されたLocal Operations Center(LOC)に光ファイバーを通して送信され、その地域にあわせた広告などを追加して放送する。
サンディエゴ郊外、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校の近くにあるMediaFLO USAのビルは、広大な敷地に4棟あり、今回はそのうちの1棟を見学した。内部にはコンテンツ提供者から送られてきた映像を取り込んで圧縮するIngestルームや生放送を行うLive Events Center、圧縮した映像の品質をチェックするQuality Control Room、取り込んだ映像に必要な編集を加えるPost-Production Roomなどがある。また実際の放送や放送品質のチェック、放送網のトラブルを監視し、何かあった場合は問題の解決を行う中心的施設のOperation Center、放送用のデータが入ったサーバなどが置かれるバックヤード施設などもここにある。
Ingestルームなどで取り込んだ映像には、コンテンツの中身や関連する地域、著作権などに関するメタデータが追加され、後日、新番組をつくる際には簡単な検索で呼び出せるようになっている。Ingestルームでの映像取り込み作業以降の映像ワークフローはすべてデジタル化されており、映像資産管理など多くの部分で自動化が図られている。
またPost Production RoomにはMacintoshが導入されており、Final Cut Proを使って映像に必要な編集をしたり、クロマキー合成を加えたり、場合によっては簡単な広告コンテンツの制作を行ったりもできる。
MediaFLO USAのビジネスオペレーションズ担当副社長、グリン・スパンゲンバーグ氏は「MediaFLOの施設は、本物の放送局と比べると少し小さめだが、それはこうしたデジタル映像ワークフローの採用によるところが大きい」と話す。例えば必要な情報を探してくるにしても、これまでの放送施設では実際に人間が探してくるか、ロボットアームを使ったテープ検索システムなどを用いていた。しかしここではそれが簡単な検索で済んでしまう。検索用のメタデータには、例えば「このドラマの主演俳優は、それまではあまり有名ではなかったが、このドラマのヒットによって一躍有名になった」といった、かなり細かな情報も盛り込むという。同氏をはじめMediaFLO USAには、元々放送業界で活躍してきた社員が多い。
MediaFLOの強み
携帯機器向けの番組放送というと、日本では既に一部の端末に組み込まれている「ワンセグ」がよく知られている。また米国ではいくつかの事業者が、データ通信を使ったストリーミング放送のサービスを開始している。
これらのサービスに対するMediaFLOの一番の強みで、ユーザーにもっともわかりやすいのは消費電力の低さだ。視聴時に消費する電力は一般の通話と同程度で、850ミリアンペアアワー程度のバッテリーを利用する一般の携帯電話で約4時間程度の視聴が可能になっている(3月2日の記事参照)。
また、画質も極めていい。MediaFLOの映像はQVGA画質で、MediaFLO用に最適化されたQualcommカスタム版のH.264(AVC)技術で圧縮されている。30fpsの映像が基本だが、電波状況に応じて15fpsの低画質モードにフォールバックすることができる。チャンネル切り替え時間が2秒以下というのもワンセグ放送やストリーミング放送に対する大きな強みだ。
携帯電話事業者やコンテンツ所有者に対してはさらに大きなアドバンテージがある。ワンセグ放送よりも圧倒的に多くのチャンネル(20チャンネル)での放送が可能な上に、放送できるコンテンツの形態もバリエーションに富んでいるのだ(詳細は後述)。また、実際の映像の準備や放送、サポートをNOCに丸投げできるため、設備投資などがほとんどかからないのも強みといえそうだ。
こうしてワンセグの小さな枠に入り込めなかった、おもしろいコンテンツがMediaFLOの放送波にのれば、それはユーザーにとっても大きなメリットにつながる。

ユーザーにもっともわかりやすいMediaFLOの強みはバッテリー駆動時間だ。BREW 2006 Conference会場では、約40キロ離れたNOCから送られてくる実験放送を試作端末で視聴できた。現在、実験放送は15チャンネルで稼働している。生放送の表示は地上波と比べて約3秒ほどのタイムラグがあるが、最終的には1〜2秒に縮めたいという[林信行,ITmedia]
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