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BREW 2006 Conference:

技術を開発し、チップで儲ける──Qualcommのビジネスモデル (1/3)

Qualcommが、6月2日に開幕するBREW 2006 Conferenceに先駆けて、記者向けの説明会「BREW 2006 Corporate Day」を開催。欧州で係争中の知的所有権についての考え方も示した。
2006年06月01日 01時54分 更新

 ドコモのキッズケータイ「SA800i」(三洋電機)、日本国内だけでなく海外でもGPSナビゲーションをしてくれるボーダフォンの「903T」(東芝)、HDD内蔵携帯として注目を集めたauの「W41T」(東芝)、米国初のHSDPA携帯「LGE CU320」(LG)、欧州初のHSDPA携帯「Z560」(Samsung)──。メーカーもキャリアもバラバラなこれらの携帯電話を支える共通項が分かるだろうか。

 実はいずれも、米Qualcommのチップセットを採用している。QualcommといえばCDMA技術の主力開発社。同社の取り組みを見ていくことで、次世代やその次の世代の携帯電話の取り組みが見えてくる。

 米Qualcommは、6月2日に開幕するBREW 2006 Conferenceに先駆け、ジャーナリスト向けの会社概要説明会「BREW 2006 Corporate Day」を開催した。ここで紹介された同社の最新動向や取り組みを見ていこう。

 セッションは「会社のオーバービューと3G技術のアップデート」、モバイル放送技術「MediaFLOの紹介」「W-CDMA/HSDPAの最新動向」「CDMA2000/EV-DOの最新動向」「IPR」(知的所有権)に関するセッションの4部構成。今年ならではの大きな特徴は、4つ目の「IPR」(知的所有権)に関するセッションの追加だ。

 Qualcommは、CDMA技術の提供でトップシェアを持つが、それゆえに独占的、支配的といったイメージを与えやすい。昨秋には、ヨーロッパで「Qualcommの3G技術ライセンスが反競争的」(2005年10月の記事参照)とする裁判も始まっている。

 そこで今年の「BREW 2006 Corporate Day」では、同社のビジネスモデルやライセンスについての考え方を示すことに重点が置かれたわけだ。

Qualcommのビジネスモデル

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 冒頭の「会社のオーバービューと3G技術のアップデート」というセッションでは、同社マーケティング担当上級副社長のジェフ・ベルク氏が、まずは同社のビジネスについて説明した。

 2005会計年度で56億7000万ドルの売上げを上げるQualcommは、CDMAやその他の先端技術を用いたデジタル無線コミュニケーションソリューションを提供する企業。4500件近い米国特許と2万4000件近い海外特許を持つなど、高い技術力を誇る。W-CDMAとCDMA 2000の両方に関するさまざまな技術を保有し、技術ライセンスも行なっているため、こうした技術ライセンスによる収益が大きい会社という印象を持つ人も多い。

 だが、ベルク氏は「実は(Qualcommの)収益の60%近くはチップ(半導体)ビジネスが稼ぐ」という。昨年の収益では半導体ビジネスが約58%の32億9000万ドル。これに対してライセンス事業による収益は32%の18億3900万ドルでしかない。

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 「われわれは携帯電話会社にチップセットを供給して利益をあげていく必要がある。そしてそのビジネスを続けていくためには、Qualcommのチップセットを使った携帯電話が大きな魅力を持つ製品になる必要がある」

 携帯電話を開発しやすくするための技術を研究/開発し、関連企業を買収。それらを活かしたチップを提供する。このチップを使った携帯電話が売れると、Qualcommにはそれによる利益が入る。その利益を研究開発費用にまわして、また新しい技術を生み出し、携帯電話をさらに魅力にしていく──。これがQualcommのビジネスの基本となる発想だ。

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[林信行,ITmedia]

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