富士通は5月18日、富士通フォーラム2006において、「WiMAXが変える!無線ブロードバンドの近未来」と題したセミナーを開催した。高速な無線ブロードバンドの切り札として期待が高まるWiMAXに対する、富士通の取り組みや最新技術動向などが紹介された。
WiMAXは、IEEE802.16の中で標準化が進められてきた無線通信技術で、ブロードバンド環境におけるラストワンマイルの解決に向けた固定用の「IEEE802.16-2004」と、移動中の通信をカバーする「IEEE802.16-2006」(モバイルWiMAX)に分類される。
WiMAXに対する業界の注目度は高く、携帯電話業界においてもNTTドコモ(3月28日の記事参照)やKDDI(2月16日の記事参照)が「4G」の実現に向けて、ネットワークを補完する形でのモバイルWiMAXの導入を検討している。今回、セミナーを行った富士通は、NTTドコモに携帯端末を納めているが、モバイルWiMAX端末の開発状況に触れたというわけではない。富士通は、WiMAXそのものの普及を推進する企業なのである。
米国に電子デバイス関連子会社を持つ富士通は、すでに自社製のWiMAXチップを開発。パートナーと共同で、基地局への搭載を始めているという。同社の基地局の特徴としては、以下の4つがあげられる。
特に富士通では、基地局に搭載するアンプの性能に自信を持っており、その技術レベルは「世界最高クラスにある」(長谷川氏)という。基地局が電波を出すにあたって、アンプの性能が高ければ高いほど、元の信号は小さくてもよいという理屈である。信号処理に必要な電力は少なくなり、結果として基地局の小型化も実現される。WiMAXの基地局は、ビルの屋上やポールなどを設置場所として利用するため、サイズが小さいほど有利なわけだ。
長谷川氏は、WiMAXフォーラムの現在の活動状況を「一部、プロファイルの認定作業が始まっている」と紹介し、WiMAXが仕様として標準化されただけではなく、実際の製品化の準備も進んでると報告。WiMAXの市場として、2010年ごろにはブロードバンド加入者の約10%にあたる、4800万加入+αに達するものとの予測を挙げた。
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