連載
Interview:
優れたサービスは「関西のお客さん」が育てる――スルッとKANSAIに聞く(後編) (1/5)
関西の私鉄やバスで利用できる「PiTaPa」は、東京でSuicaを日々使っている身からすると羨ましいほどよくできたサービスだ。「便利に使ってもらうことで公共交通利用の促進を目指す」というその便利さはどのように生まれたのだろうか?
FeliCaを使った公共交通向けIC乗車券システムとしては珍しい「ポストペイ(後払い)」方式を採用した「PiTaPa」。前編に引き続き、スルッとKANSAI PiTaPaビジネスサークルコアリーダー執行役員の松田圭史氏にPiTaPaの各種サービスや電子マネーの取り組み、将来展望などを聞いていく。
スルッとKANSAI PiTaPaビジネスサークルコアリーダー執行役員の松田圭史氏少額決済の価値を底上げするポイントシステム
PiTaPaはJR東日本のSuica電子マネー(特集参照)のように、公共交通利用と連携した電子マネー機能を持っている。こちらも、もちろんポストペイ(後払い)方式が特徴だ。Suica電子マネーのようにチャージの必要はなく、使い勝手はFeliCa型のクレジット決済サービスに近い。
駅構内のコンビニ、書店、飲食店、観光施設などを中心として、3000店舗以上がPiTaPa決済に対応している。自動販売機の対応も進んでおり、駅と駅近隣にはPiTaPa決済対応の「シーモ」(2月16日の記事参照)が設置されている。また、ユニークなところでは駅設置の多機能型コインロッカー「クロスキューブ」もPiTaPa決済対応である。
PiTaPa決済に対応したシーモ自動販売機。シーモは日本コカ・コーラが展開する多機能な自動販売機で、2006年2月現在全国で5000台。ドコモのおサイフケータイ向けクレジット決済サービス「iD」への対応も決まっている(4月3日の記事参照)「PiTaPa決済は『公共交通機関の利用促進』という目的があります。ですからPiTaPa決済をご利用いただきますと、店舗での決済金額に応じて『ショップ de ポイント』というポイントを付与しています。これは50円分のポイントが貯まると、自動的に電車・バスの利用額の割引になるというものです。ショッピングでPiTaPaを使うほど、公共交通利用が安くなるというインセンティブを狙ったものです」(松田氏)
ショップ de ポイントは異業種連携の“橋渡し”としても使われている。代表的なのは全日本空輸(ANA)との連携で、ANAマイレージクラブのマイルをショップ de ポイントと交換できる。公共交通の利用分として「貯めたマイルで電車・バスに乗れる」(松田氏)。他にも三井住友カードのポイントをショップ de ポイントに交換して、電車・バス利用に充てることができる。
このようにPiTaPa決済は、ショップ de ポイントという公共交通連携機能を持つことで、単なる電子マネー的な決済手段ではなく、スルッとKANSAIの“本業”である公共交通の利用促進に貢献しているのだ。
「また、ポストペイであることはお客様の利便性向上にも大きな効果があります。プリペイド型の電子マネーと異なり、購入金額に関わらず残額を心配することがありません。お客様の(電子のマネー利用に対する)心理的なハードルをなくすという効果が大きい」(松田氏)
PiTaPa決済は1日3万円、1ヶ月に5万円という利用額制限があるものの、その範囲内であれば残額の心配はない。「少額〜中額まではPiTaPa決済で十分に対応できる。その上の価格帯はクレジットカードで対応するという考え方」(松田氏)だという。
すでにPiTaPa対応の提携クレジットカードも多数用意されており、これらの中には「クレジットカード+PiTaPa」の一体型カードもある。1枚で少額〜中額はPiTaPa、高額はクレジットカードというシームレスなキャッシュレス化が実現可能だ。
[神尾寿,ITmedia]
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