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神尾寿の時事日想:

DCMX最大の武器は「ドコモショップ」

ビジネスモデルからブランド戦略まで、実によく考えられたドコモのクレジットサービス「DCMX」。従来のおサイフケータイ向けサービスと一線を画すと筆者が感じたのが、ドコモショップを武器に使っている点だ。
2006年04月05日 22時41分 更新

 NTTドコモは4月28日から、クレジットサービス「DCMX」(ディーシーエムエックス)を開始すると発表した(4月4日の記事参照)。NTTドコモプロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野剛氏に「これ(DCMX)がやりたくてドコモに入った」と言わせるサービスだけあり、ビジネスモデルからブランド戦略(4月4日の記事参照)まで考え抜かれている。携帯電話コンテンツを利用する感覚でクレジット決済ができる「DCMX mini」を用意し、キャリアの優位性をしっかりと打ち出す点も抜かりがない(4月5日の記事参照)。DCMXはiDの普及はもちろん、おサイフケータイ関連ビジネスの拡大にも貢献するだろう。

ドコモショップがDCMXユーザーを集める

 今回のDCMXの特徴は多々あるが、その中でも注目なのは入会手続きの容易さだ。ドコモはDCMX miniとDCMXの開始にあたり、周到に「わかりやすいオンライン受付システム」を用意した(4月5日の記事参照)。今後、iDとDCMX miniのアプリはドコモのおサイフケータイに標準搭載される予定であり、従来のおサイフケータイ対応サービスが抱えていた「ICアプリをダウンロードするハードル」がない。

 しかし、筆者がさらに重要だと思うポイントは別にある。DCMX miniとDCMXはオンラインだけでなく書類による入会受付が可能であり、「ドコモショップが対面窓口として入会受付業務を行う」という点だ。

 ドコモショップは現在、全国に約1400店舗あり、地域密着で販売からアフターサービスまで幅広く受け持っている。東京や大阪など都市圏では大手電気量販店など併売店を利用するユーザーが多いが、地方においては「ドコモショップの販売比率が6〜7割を超える地域もある」(一次販売店幹部)。特に携帯電話にあまり詳しくないユーザー層にとって、ドコモショップは身近で心強い窓口として受け入れられている。そのドコモショップが、DCMXの対面窓口として入会受付やサポート拠点になる影響は大きい。

 また、地方に目を向けると、ドコモショップにはもう1つ注目すべきポイントがある。それは地方でドコモショップを運営する販売代理店の多くが、その地域で有力な地場企業であるケースが多いということだ。地元の経済同友会や商工会議所の“顔役”であり、地域経済への強い影響力を持っている。彼らがDCMXの推進に直接的な役割を担うということは、エンドユーザーの獲得だけでなく、iD加盟店の拡大にも貢献するだろう。

 筆者は1年以上にわたり、おサイフケータイを導入した現場を多く取材してきた。その中で強く感じたのが、おサイフケータイの普及と利用促進には、ユーザーの利用促進やサポートをする「対面窓口」が必要だということだ。その点、ドコモショップは全国に広がっており、人材のレベルが平均的に高い。DCMXをはじめとするおサイフケータイの対面窓口として、これほどふさわしい場所はない。DCMX最大の武器は、ドコモショップの活用と言えそうだ。

[神尾寿,ITmedia]

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