「W-ZERO3」効果、PDA市場は5年ぶりプラス成長へ

» 2006年03月30日 13時26分 公開
[ITmedia]

 ガートナージャパンが3月30日まとめた国内PDA・ハンドヘルドPC市場調査によると、2006年の同市場は5年ぶりにプラス成長に転じ、前年比63.1%増となる40万台に回復する見込みだ。ウィルコム−シャープの「W-ZERO3」が口火を切った通話型ワイヤレスPDAが需要を刺激し、法人向け出荷が拡大すると予想している。

photo W-ZERO3(3月8日に発売された新色「シャンパンシルバー」)

 2005年の出荷台数は前年比18.6%減の25万台。PalmやHandspringのデバイスが人気だった2001年の87万2000台をピークに、年20%以上の大幅減が続いてきた。

 ただ、2005年は個人市場(11万2000台)は同38.3%減と4年連続マイナスにとどまったが、法人市場(13万3000台)は同11.5%とプラスに転換。ハンディターミナルからの置き換えに加え、工程管理やグループウェアなど用途の幅が広がった。

 12月にはW-ZERO3が発売され、予約開始や発売日に行列ができる人気商品に。シャープはW-ZERO3効果で同43.7%増の8万5000台を出荷し、市場シェアを34.5%として4年ぶりにトップに立った。

メーカー 台数(千台) シェア 前年比
シャープ 85 34.5% 43.7%
日本HP 41 16.6% 31.3%
カシオ計算機 29 12.0% 5.2%
富士通 23 9.3% 89.1%
ソニー 17 6.9% -85.0%
その他 51 20.7% -13.7%

 通話型ワイヤレスPDAは、通信の容易さや大画面・高精細ディスプレイ、キーボードなどの機能から「個人・法人とも訴求力を持ち、2006年も引き続き需要を刺激していく」(ガートナー)。今年前半は「プロシューマー」と呼ばれる個人を中心に出荷が拡大するが、後半からは法人向けも徐々に増えると予想。機能や通信性能の向上から用途が広がり、外勤者によるグループウェアの活用など、一般的なモバイルワーカーにも浸透すると見ている。

 同タイプのPDAはNTTドコモやボーダフォンも法人向けに投入を計画しており、選択の幅が広がりそうだ。ガートナーは「従来型PDAは個人市場を中心に引き続き収束に向かうが、通話型ワイヤレスPDAの増加がカバーして市場は大幅に回復する」とし、全体の6割を同タイプが占めると予測している。

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