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神尾寿の時事日想:

iDに見る電子マネーとのリーダーライター共通化の強み

ファミリーマートの「iD」導入で注目すべきは、「Suica/iD共有リーダーライター」の可能性だ。電子マネーとクレジット決済サービスの合従連衡に注目したい。
2006年02月28日 12時43分 更新

 2月27日、NTTドコモとファミリーマートが、おサイフケータイを利用したクレジットサービス「iD」(2005年11月8日の記事参照)をファミリーマート全店舗へ導入すると発表した(2月27日の記事参照)。詳しくはレポート記事に譲るが、2006年4月末を目処に約100店舗のファミリーマートへ先行導入し、2006年秋から翌年春にかけてファミリーマート全店舗へ導入する予定だという(1月19日の記事参照)。おサイフケータイを使ったクレジット決済サービスとして、サービス開始で最後発になるiDにとって今回の「ファミマ全店対応」は重要な起爆剤になりそうだ。

 今回の発表で特筆すべきポイントは、ファミリーマートがSuica電子マネーの本格導入を始めていることである。iDとSuica電子マネーは将来的なリーダーライターの共通化の方針が打ち出されており(2005年7月28日の記事参照)、2007年春までの全店舗展開では「Suica/iD共有リーダーライター」が採用される可能性がある。いうまでもないが、1台のリーダーライターで電子マネーとクレジット決済サービスの両方に対応できるのは、設置スペースの問題やオペレーションの煩雑さを避ける上で加盟店のメリットになる。

共通リーダーライターで注目の3カ所

 今後、電子マネーとクレジット決済サービスの両方に対応してほしいという加盟店の声は増えるだろう。その中で、どの陣営が獲得するか筆者が注目している「場所」が3カ所ある。

 1つは駅上や駅周辺店舗、特にデパートである。首都圏で言えば、“駅中”はSuica電子マネーの独壇場だが、駅上デパートは衣類やアクセサリーを筆頭に5千円から数万円におよぶ商品が中心だ。場所柄、Suica電子マネーなど交通系電子マネーの対応が行われるだろうが、顧客単価を考えればクレジット決済サービスの方が親和性が高い。この分野はSuica電子マネーとの共通化方針が打ち出されているiDが有望だが、JCBなどはデパート内の加盟店とも結びつきが強い。水面下の獲得合戦は激しそうだ。

 2つめは空港である。周知のとおり、日本の主要空港は「ANAのEdy、JALのSuica電子マネー」の競争状況になっており、地方空港まで含めた広い対応という点ではEdyが優勢だ。しかし、その一方で各航空会社はマイレージサービスを組み込んだクレジットカードの普及にも力を注いでいる。電子マネーの次のステップとして、おサイフケータイ向けクレジット決済サービス対応の動きが出る可能性は十分に考えられる。特にEdyの普及に力を注ぐANAが、クレジット決済サービスとの連携・リーダーライター共通化にどのような姿勢で臨むのか、は注目である。

 3つめはロードサイド事業者の動向だ。クルマと道路に沿って商圏を形成するロードサイドビジネスでは、クルマ利用者のクレジットカード所有率が高いことから、本質的におサイフケータイ向けのクレジット決済サービスの潜在市場性が公共交通向けより高い。また、先日ある大手商社の幹部と意見交換をしたのだが、「クルマで来店するお客様の方が、電車で来店するお客様よりも購入単価が圧倒的に高い。これは都市部でも同様の傾向だ。SC(ショッピングセンター)や百貨店にとって、クルマで来店するお客様は優良顧客だ」という。筆者はロードサイドはむしろクレジット決済サービスの方が主導権を握ると見ており、その中で電子マネーがどのように共通化のスキームに乗るかに注目している。

 本コラムでも繰り返し述べたが、今年はおサイフケータイ向けのクレジット決済サービスが普及する。その中で、ユーザーと加盟店の声を鑑みれば、電子マネーとの共通化は避けられない課題になっていくだろう。それぞれの電子マネーとクレジット決済サービスがどのような合従連衡を行うか。チェックしておいて損はなさそうだ。

[神尾寿,ITmedia]

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