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「FMCという言葉は好きではない」──KDDIの渡辺氏

ウルトラ3G構想に取り組むKDDIの渡辺氏は、講演で実証実験の様子などについて紹介。その中で、FMCという言葉について「あまり好きではない」とコメントした。
2006年02月23日 19時58分 更新
Photo KDDIの技術統轄本部技術開発本部長、渡辺文夫氏

 KDDIは、現在「ウルトラ3G」構想を推進している(2005年6月15日の記事参照)。固定電話網(固定網)と携帯電話用の移動網を統合し、その時々に応じて最も適した通信方式を利用者が意識することなく利用可能にする構想だ。

 KDDIの技術統轄本部技術開発本部長、渡辺文夫氏は、このウルトラ3Gのコンセプトやそのあるべき姿、ウルトラ3Gを見据えた実証実験の様子などを解説した。

ユーザーが自由自在にサービスを利用できるウルトラ3G

 ウルトラ3G構想について渡辺氏は、「一言で表現すると、IPの統合ネットワークを作ること」だと言う。そのために同社は、2004年9月15日に固定電話網をIP化する方針を打ち出し、既存の固定電話網との接続はソフトスイッチに置き換えて、同社のFTTHサービスである「光プラス」のバックボーンであるCDN(Contents Delivery Network)を拡張してきた。この作業は2008年3月までに完了する。

 一方移動網も、2008年から2010年にかけて、IPベースのプラットフォームIMS(IP Multimedia Subsystem)/MMD(MultiMedia Domain)への移行を予定している。そして固定網と移動網を接続し、ゆくゆくは同一のIPネットワーク上に、サービスともども統合するという青写真を描く。

 固定と移動を統合したネットワークでは、CDMA2000の拡張仕様(EV-DO Rev.Aなど)や次世代のCDMA2000、ワイヤレスブロードバンド接続(モバイルWiMAX)との連携を進める。また、ADSLやFTTHのような有線アクセス、Wi-Fiなどもサポートする。

PhotoPhoto ウルトラ3Gは、すべてがIP化された統合ネットワークで、さまざまなアクセス手段に対してサービスを提供していく。固定と移動の融合は、右の図のように段階的に進むとしている

 最終的には固定であるか移動であるかといったアクセス手段に依存せず、ユーザーがいつどこにいても、サービスやアプリケーションを利用できる世界を実現する。

 このような世界では、使う側にとって端末はあくまでも端末であり、それが有線接続か無線接続か、どんな無線方式を使っているのかといった、インフラの部分が意識されることはない。サービスが快適に利用できるか否か、という基準があるだけだ。その意味で「FMC(Fixed Mobile Convergence:固定と移動の融合)」はインフラ提供者側の論理であって、FMCという言葉自体が「あまり好きではない」と渡辺氏は言う。ユーザーの利便性を向上させることこそが重要だと考えているからだ。

ウルトラ3Gも既存システムとシームレスに展開

 ウルトラ3G上でのサービス展開は、同社得意の「オーバーレイ・アプローチ」で行う。すなわち新技術に“切り替える”のではなく、既存のネットワークを維持したまま、上位互換の新技術をシームレスに導入していく方法だ。ウルトラ3Gでは、全国展開しているCDMA 1XのサービスとCDMA 1X WINのサービスをベースに、主要都市でのモバイルWiMAXを利用したワイヤレスブロードバンドサービスや、一部地域でのWi-Fiベースの無線LANサービスを組み合わせていく。

PhotoPhoto ウルトラ3Gでは、アクセス手段には依存しないアプリケーションサービスを提供する。新技術の導入は、既存のネットワークを維持したまま行う方針だ。ウルトラ3GはCDMA 1X/CDMA 1X WINのネットワークをベースにモバイルWiMAXなどを追加していく

 KDDIは2月16日に大阪で行った公開実験で、モバイルWiMAXと1X WINのシームレスなハンドオーバーなどにも成功した(2月16日の記事参照)。ハンドオーバーは非常にスムーズに行われ、音楽を再生していてもほとんどの人は気が付かないレベルを達成している。

PhotoPhoto 大阪で行っているモバイルWiMAXの実証実験の様子。2月16日に行った実験では、EV-DOとのシームレスなハンドオーバーに成功したことも紹介した

 1X WINを導入したときも、全国レベルで1Xのサービスは維持しつつ、新技術に対応するエリアを順次拡大していったことを紹介。新技術に対応したエリア内では、より便利で高速なサービスが利用でき、非対応のエリアでも、通信速度などが遅くなるもののほぼ同等のサービスは受けられるため、「オーバーレイ・アプローチ」ならユーザーの利便性を損なわずに済むことを強調した。

[園部修,ITmedia]

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