誠

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連載
2006/02/06 12:40 更新

神尾寿の時事日想:
メーカー再編で見逃せない“海外メーカー提携”のシナリオ

世界第2位の携帯メーカーMotorolaが、日本メーカーとの提携を考えているという。国内メーカー同士の再編が進む現在の状況に、海外メーカーは今後どのように関わってくるのだろうか。

 2月3日、ロイターによる外電が、Motorolaと日本の携帯電話メーカーが提携する可能性を報じた(2月3日の記事参照)。Motorolaのエド・ザンダーCEOは、「NEC、松下電器、三洋と交渉を持ち、『製品を投入するための技術協力の可能性』を検討している」と相手先の名前を挙げて語ったという。

 この3社が同社と本当に提携するかは、現時点では不明だが、日本の携帯電話市場が急速な普及拡大期を終了しつつある一方で、日本メーカーは海外市場に活路を見い出せずにいる。MNPに向けてキャリアの端末開発とコスト圧縮に対する要求は今後さらに厳しくなり、その後はインセンティブモデルそのものの見直しが始まる気配もある。日本市場のみに国内メーカー11社がひしめき合う状況はそろそろ限界だ。今後1〜2年のうちに、国内メーカー再編が起こる可能性は高い。

欧米メーカーは日本メーカーに食指が動く?

 このメーカー再編を考える時に重要なのが「海外市場」の扱いだ。

 すでに日本メーカー同士の技術的な提携はプラットフォーム開発の分野で始まっているが、これらはあくまで国内市場向けの開発コストを圧縮するのが主目的である。日本市場全体が買い換え中心に転換し、先細り感のある中でメーカーの“じり貧”への不安は変わらない。誤解を恐れずに言えば、日本メーカー同士がいくら提携や合併をしても、それが「海外市場で弱い」状況を打破できるものにならなければ、それは延命以上の意味を持たない。メーカーの持続性のある成長を前提に置けば、これから起きる再編は海外市場を見据えた形で進むだろう。

 そう考えると、海外メーカーと日本メーカーが提携するシナリオは十分に考えられる。特にノキアやモトローラをはじめとする欧米の携帯電話メーカーは、日本市場での獲得シェアの低さを気にしており、キャリアと密接な協調を求められる独特の端末開発・販売環境に強い苛立ちを持っている。また、日本メーカーが持つ高機能・省電力端末を開発する技術やノウハウは、欧米でもスマートフォン分野から端末の高機能化が進んでいることを鑑みれば、彼らにとって魅力的な要素である。条件さえ整えば、市場変化に対応できずに弱体化した日本メーカーの携帯電話部門を丸ごと買うというシナリオすら考えられるだろう。

 筆者は現在、これから起きるメーカー再編について複数のシナリオを検討しているが、その中で「海外メーカー」はジョーカーのような存在だ。様々な形で今後の再編劇に見え隠れするだろう。願わくば、日本メーカーがその力を海外でも遺憾なく発揮する形で、今後のメーカー再編が進んでほしいと思う。

[神尾寿,ITmedia]

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