誠

プリンタ用表示

連載
2006/01/23 11:46 更新

神尾寿の時事日想:
音楽ケータイを名乗るならば、「イヤフォン環境」の見直しを

シリコンオーディオ機能を搭載し、音楽を楽しめることをウリにした携帯電話が増えている。しかし気になるのが、「イヤフォン」の使い勝手と音質の問題が軽視されているところだ。

 昨年からシリコンオーディオ機能を搭載する“音楽ケータイ”が増えているが、今年はその動きがさらに加速しそうだ。すでに発表済みのNTTドコモ、au、ボーダフォンの春商戦モデルでもシリコンオーディオ機能を搭載する機種は多い。

 その中でもauは、キャリアとして「au LISTEN MOBILE SERVICE(LISMO)」に取り組むため、W41シリーズでは全機種が音楽ケータイとなっている。携帯電話にはPC用楽曲管理ソフト「au Music Port」(1月20日の記事参照)とPC接続ケーブルが付属する。すべてのモデルが“買ってきてすぐ使える音楽ケータイ”なのは、一般ユーザーにとって分かりやすく親切だ。

 蛇足であるが、筆者はカタログや広告でシリコンオーディオ機能をアピールしながら、必要なソフトや接続ケーブル類がオプション扱いという製品は消費者に対して不親切だと考えている。ユーザーを混乱させたり、失望させないためにも、シリコンオーディオ機能を搭載するならば、必要なソフトや機器は同梱すべきだ。

音楽ケータイでも軽視されるイヤフォン環境

 また、これはLISMO対応機も含めて言えることだが、現在の音楽ケータイはイヤフォンの利用環境が不便だ。昨年のコラムでも書いたが、携帯電話のイヤフォン接続端子は平型コネクターを採用しており、ポータブルオーディオで一般的なステレオミニ端子ではない(3月10日の記事参照)。このため付属のイヤフォンを使うか、変換アダプターを介して手持ちのイヤフォンを接続することになる。W41Sのように専用リモコンが、平型コネクターからステレオミニ端子への変換機能を持つものもある。

 だが、ユーザーの立場では、専用の付属イヤフォンや変換アダプターほどやっかいな代物はない。

 まず前者は、これまで複数の音楽ケータイを試したが、付属のイヤフォンでファッショナブルかつ高品質なものに出会ったことがない。特に閉口するのがデザインで、大抵は黒くてチープさを感じさせられるものばかりだ。

 一方、後者の変換アダプターは持ち歩くのを忘れたり、紛失してしまうことがある。また、変換アダプターの色も「安っぽい黒」である場合がほとんどで、携帯電話とイヤフォンを同系色でまとめようとしても変換アダプターで台無しにされる。

 もちろん、音楽ケータイすべてのイヤフォン環境がダメなわけではない。

 例えば、今年の春商戦モデルの中ではソニーエリクソン製のW41Sに感心した。同機は昨年のW31Sで用意されていた専用リモコンを、再び標準付属にした。このリモコンはデザインや使い勝手のクオリティが高く、マイク内蔵でイヤフォンマイク通話機能を備える上に、一般的なイヤフォンが差せる。W31Sの頃は本体カラーとのコーディネートも行われていたが、今回はシルバー一色のみでの復活だ。

 さらにソニーでは、W31S時代から用意していたネックストラップ併用の耳栓型イヤフォン「DR-NX1SF」にW41Sアズライトブルーにカラーマッチングできるブルーモデルを追加している。DR-NX1SFはソニーエリクソン製携帯電話のオプション機器であり、平型コネクターで携帯電話に直差しできる。また標準付属リモコンと同じく、マイクと着信スイッチを備えている。このようにトータルでのイヤフォン環境を整えるあたりは、さすがは「音楽のソニー」である。

 音楽ケータイ用のイヤフォン環境としてはもう1つ、P902iやW41Tのように「Bluetoothワイヤレスイヤフォン」を使うアプローチもある。こちらはケーブルレスになる点が便利だが、一方でBluetoothイヤフォンユニットが高価で、ユニット側を別途に充電しなければならないのが面倒だ。一般ユーザー向けとしては少々、ハードルが高いと思っている。

普通のイヤフォンが差せるのが便利

 このように一部の音楽ケータイでは、イヤフォン環境の改善に向けた取り組みが始まっている。しかし、筆者は「携帯電話に標準的なステレオイヤフォンがそのまま差せる」ことが最も便利だと考えている。W31S/41Sのように優れたリモコンもあるが、これも第四世代までのiPodのように「ステレオミニ端子と拡張コネクターの併用」で対応するのがベストだ。あくまで本体側は、普通のイヤフォンを受け入れてほしい。

 普通のイヤフォンがそのまま使えれば、ユーザーは好みのイヤフォンを使いやすくなる上に、iPodやポータブルゲーム機とイヤフォンを差し替えて共有する事もできる。例えば、「iPodユーザーが着うたフルやFMラジオを聴きたい時だけ音楽ケータイを使う」、「ニンテンドーDSと音楽ケータイを気分に応じて使い分ける」といったことを1本のイヤフォンで実現できるのは便利だ。

 また、出張時にイヤフォンを忘れてしまったような時も、普通のイヤフォンならばどこでも手に入る。筆者自身、海外出張時にiPod用のイヤフォンを忘れてしまい、空港で購入した経験がある。

 携帯電話にとって各端子の設置スペースは重要な問題なので、すべての携帯電話がステレオミニ端子を備える必要はない。しかし、音楽ケータイやテレビケータイを名乗り、音を聴くことが重要なモデルでは、ステレオミニ端子の“普通のイヤフォン”をそのまま使えるようにすべきだ。携帯電話メーカーの都合ではなく、AV機器の常識に合わせることが、ユーザーの利便性向上につながるのではないだろうか。

[神尾寿,ITmedia]

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.