どうなる、携帯のビジネス利用2005年の携帯業界を振り返る(2)(3/4 ページ)

» 2005年12月29日 00時38分 公開
[聞き手:房野麻子,ITmedia]

斎藤 BlackBerryTreoは通話ができる端末も出ているんですが、彼らはそれで電話はしないんですよね。通話は別途MotorolaやNokiaの端末を持っていて、BlackBerryやTreoはメール端末だっていうんです。

神尾 だんだんデータの利用の方が中心的になるみたいですね。だから、音声型とキーボート型が分化するシナリオも考えられるでしょう。一方で、NOKIA E70みたいに利用シーンに応じて使い分けできる機構の進化もある。実は選択できる可能性の幅は広いのですよ。

斎藤 日本の携帯電話にQwertyのキーボードを付けられない理由もよく分かります。折りたたみ形状で幅50ミリなんていうサイズを維持しようとすると、Qwertyは難しいんです。無理に付けるとM1000やW-ZERO3になってしまう。そうではない、そもそもメール端末、という方向性はあってほしいと僕も思います。

ITmedia 名前が出たので、W-ZERO3はどう思いましたか?

ウィルコムのシャープ製スマートフォン「W-ZERO3」

斎藤 好きな人は好きでしょうけど、中途半端かな、と思います。

神尾 私は萌えない(笑)あのサイズとユーザビリティだと「PHS内蔵PDA」ですよね。まあ、その点ではM1000も同じくなんですが。キーボード付きは評価しますが、コンパクトさを犠牲にするのはちょっといただけません。

斎藤 モバイル機器ってもっと機能を明確にしていいものだと思っているんです。「なんでもできるモバイル機器」が1つの目指すところだというのは分かるんですが、欧米人が音声用の端末とメール用の端末を使い分けているのを見ると、両方できる1つのW-ZERO3より、分けた方がいいな、って気もするんです。実際にW-ZERO3を買った人に聞いても、あれで電話をするつもりの人は誰もいない。2台持ちが前提なんですよね。そう考えると「なんでもできる」というより「これができます」というものの方が面白いのかな、と思うんです。

神尾 W-ZERO3は次のバージョンで通話機能を省けばいいんですよ。

斎藤 でも、それじゃザウルスと変わらないじゃないですか(笑)

神尾 通信機能は「W-SIM」だから、通話用端末にSIMを差し替えればいい。もともとウィルコムはダブルホルダー(2台持ち)を進めるって言ってるんですから、通話は携帯電話にまかせるくらいの気概でもいいかもしれない。W-SIMを使って、もっと小さくて持ちやすいメール端末としてのキーボード型端末、アメリカのTreoやBlackBerryタイプのものを最初にやるのがウィルコムだっていいわけです。

斎藤 せっかくW-SIMがあるのに、なんでもできるパーフェクトマシンが出てくるというのが、逆に謎です。ブラウザ端末を作る、っていうならアプローチが違ったと思うんです。メール端末を作る、でも違ったと思う。全部できるようにしようとした結果、あのW-ZERO3ができた。

神尾 いずれにせよ、日本メーカーには「キーボード型」にもっと注目してほしいと思います。

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