MVNOの実態と課題──MVNOフォーラム(1/3 ページ)

» 2005年12月26日 13時29分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 日本型MVNOの模索が始まっている。12月21日に都内で開かれた「MVNOフォーラム」では、ボーダフォンやイー・アクセス、アイピーモバイルなどMVNOに積極的な通信事業者や、日本通信などMVNOビジネスを展開する企業が集まり、MVNOのビジネスチャンスや、MVNOに期待することなどが議論された。

 議論の内容から、MVNOについて見えてきたことをまとめてみる。

MVNOとは何か

 まずMVNOとは何だろうか。Mobile Virtual Network Operatorの略で、自分では通信設備を持たずに携帯電話サービスを提供する事業者のことを指す(2001年8月29日の記事参照)。当然、MVNOにネットワークを貸し出す携帯電話事業者が必要で、こちらはMNO(Mobile Network Operator)と呼ばれる。

 例えば、国内でのMVNOの先駆けである日本通信は、ウィルコム(MNO)のPHS通信網を借り受けて、ユーザー向けにデータ通信サービスを提供している(2001年8月22日の記事参照)

 下記のスライドは、携帯電話事業をいくつかの層に分けたものだ。普通の携帯電話事業者は、このすべてを自前で持ってサービスを行うが、例えば最もコストのかかるネットワークインフラだけを借り受けて、ほかの部分だけを作ってサービスすることもできる。これがMVNOと呼ばれるものだ。

レイヤー 役割
コンテンツ・サービス デジタルコンテンツの提供
プラットフォーム ユーザー認証や課金、決済、ポータルなど
インターネットアクセス ISP機能
通信サービス エンドユーザーに通信サービス提供
ネットワークインフラ 通信設備を保有し、管理運営を行う
端末 ネット接続や通話機能を持つ端末
インフォシティの岩浪社長のスライドより編集部作成。一般的な携帯電話事業では、上から下まで1つの事業者が提供するが(垂直統合モデル)、ADSLなどの固定系通信では、それぞれの層で分かれて分業体制(水平分離・分業モデル)を採る事業者も多い
MVNOの事業例
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