誠

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連載
2005/12/19 12:24 更新

特集:FeliCa携帯、本格始動
am/pmに聞く、「コンビニ+電子マネー」先行導入の効果(前編)

Edyを初期から導入しているコンビニチェーン、am/pm。Edyを導入しようとした理由、現在の状況や今後の課題などについて取材した。

 電子マネー「Edy」を初めて見かけたところはどこだろうか。

 都市部に在住・通勤する人ならば、am/pmだった、という人も多いはずだ。am/pmはコンビニエンスストアの中でも最初期に電子マネーを導入した企業であり、2001年に一部店舗でEdyに対応。翌年には全店舗で対応している。Edy、そして、おサイフケータイの初期参加企業として重要な役割を担ってきた。

 今日の時事日想は特別編として、am/pmジャパン戦略企画本部営業戦略部の大熊義久氏へのインタビューをお送りする。コンビニエンスストアでの電子マネー先行導入の効果と今後の展望などについて、2回に分けて聞いていく。

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am/pmジャパン戦略企画本部営業戦略部の大熊義久氏

他のチェーンとの差別化のために電子マネーを導入

 周知の通り、am/pmはコンビニエンスストア業界の中で、ビットワレットの電子マネー「Edy」を初めて導入した企業である。2001年に試験導入を始め、2002年には全店舗がEdy対応を果たしている。セブンイレブン、ローソンなど最大手が2005年になってようやく「電子マネー対応」に動き出したことを鑑みると、そのフットワークのよさがわかる。am/pmが電子マネー導入に積極的だった背景には、業界全体の成熟と競争の激化があるという。

 「コンビニエンスストア業界は全国4万店舗を超えていて、業態が成熟しています。この中で他チェーンとの差別化をするには、(来店頻度の高い)ロイヤルカスタマーをどうやって押さえるか、というマーケティングが必要になります。

 この時に、従来のPOSシステムでは『1 to 1』のマーケティングツールにはならず、顧客ごとのデータが追跡できないのでロイヤルカスタマーの傾向も分析できない。新たなCRMツールを探していたところに、さくら銀行(現三井住友銀行)からビットワレットのEdyをご紹介いただきました」(大熊氏)

 am/pmが導入を検討していた当時、電子マネーの将来性はまったく不透明であった。それ以前にインターネット上での普及を目指した電子マネーが不首尾であったこともあり、むしろマイナスイメージすらあったと言える。しかし大熊氏は、そういったネガティブなイメージを差し引いてもEdyに将来性を感じたという。

 「まず機能面としては決済とCRM機能がセットになっているのが魅力です。(将来性を感じた理由としては)NTTドコモやANAなどが株主だったことと、将来的に携帯電話にEdyが載るだろうという点を重視しました。またEdyのような電子マネーは利用手数料の課題がありますが、これも(コンビニの)利益率から見れば妥当なものと考えました」(大熊氏)

 これらの理由の上に、am/pmの「新しいものにチャレンジする」という社風も加わり、コンビニ初の電子マネー導入が動き出した。

 am/pmにとって幸いだったのは、当時導入済みだったレジシステムが「システム追加という形でEdyに対応できたこと」(大熊氏)だ。これによりレジシステムを総入れ替えする必要がなくなり、Edyの利用可能な実店舗をいち早く増やしたかったビットワレットの協力もあり、早期の全店舗対応が可能になった。

 またEdy導入に際しては、実店舗でのオペレーションへの不安も伴ったが、それも電子マネーが普及すればレジ回転率の向上が見込める点などを説明し、現場の理解を得たという。

おサイフケータイ対応が大前提だった

 am/pmがEdyを導入するにあたり、将来的な携帯電話対応、すなわち「おサイフケータイ対応」は大前提だった。その理由のひとつが、「カードを持ち歩かなくてもいい」(大熊氏)という点だ。ポイントカードやクレジットカードがそうであるように、カード型のみの提供では、ユーザーの利用頻度が少なければ日常的にサイフにいれて持ち歩いてもらえない可能性がある。しかし、携帯電話ならば持ち歩かないというシチュエーションは少なく、来店時の利用頻度は確実に高まる。カード型と比べると、ユーザーの利用機会損失は少ない。

 さらに、おサイフケータイならではの可能性も重視した。

 「携帯電話ならではのメリットとして、メールマーケティングやポイントアプリの提供が考えられます。弊社では『clubAP』のポイントアプリで育成ゲームを提供したり、様々なキャンペーンをおサイフケータイ向けに提供しています」(大熊氏)

 ポイントアプリの利用率については、店舗あたりで105%〜110%ずつ増えており、「コンビニでの買い物とゲームが結びつくという仕組みが、お客様に面白いと思っていただけている」(大熊氏)という。一方、メールマーケティングについては現在、様々な形で効果を測っている段階だ。

 「現在、Edyの平均利用率は(全体の)3〜5%程度で、その中でおサイフケータイ利用は3分の1程度。まだインパクトのある数字が取れる段階ではありません。しかし、おサイフケータイユーザーは今後も増えていきますから、この数字は増えていくでしょう。当面の目標として、Edyの利用率を平均10%にしたいと考えています」(大熊氏)

 am/pmが掲げる平均利用率10%という目標値は、同店に多い都心部の店舗で「(Edy利用で)混雑緩和を実感できるレベル」(大熊氏)である。スーパーマーケットに比べてレジ台数の少ないコンビニでは、電子マネーへの期待はオペレーションコスト削減よりも、レジ回転率向上による混雑緩和に向いているという。

[神尾寿,ITmedia]

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