ボーダフォンはおサイフケータイにどう取り組むのか?Interview: (2/3 ページ)

» 2005年12月13日 16時36分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

FeliCaチップ着脱式端末の可能性

 現行のおサイフケータイは、3キャリアすべての端末がFeliCaチップを埋め込んだスタイルになっている。しかしワールドワイドに展開するボーダフォンの場合、FeliCaチップを着脱可能にし、非接触IC部分を選べるようにする、という選択肢もあるだろう。以前ボーダフォンはシャープと共同で、SDカードタイプの非接触ICカードを着脱できる試作機をイベントに展示したこともある(2004年5月6日の記事参照)

 「あのとき展示したのは『技術的には可能だと思う』ということを示したものであって、着脱式でやるということではない。当分は一体型で行くと思う。ただ、一体型・着脱式どちらにもメリット・デメリットはある。将来着脱式の端末を出すこともあるかもしれないが、先のことは分からない」(木下氏)

 ボーダフォンのおサイフケータイ対応機種は、発売中の「703SHf」に続き、「804SH」が2006年1月中旬に発売予定。現在はまだ2機種だが、今後もおサイフケータイ機能を搭載した端末は増えていく見込みだ。「PDC版おサイフケータイの予定はない。3G端末に載せるというのは既定路線で、フェリカネットワークスとの共同発表のときに『3G端末への標準搭載を目指す』と発表している」(ボーダフォン広報)

 ただしボーダフォンでは、どういう端末に搭載するのかという方針を、端末メーカーに示しているわけではないという。「携帯には今や数々の機能があるわけですが、ボーダフォンの場合はあまりキャリア側で『今度のシリーズにはxx機能を一斉搭載する』といったようなコントロールはしていません。FeliCa機能もそれと同じ。ハイエンドに載せる、とかそういうことは決めていません」(木下氏)

対応コンテンツ事業者は現在8社。先行キャリアにキャッチアップする

 9月の発表時に、ボーダフォンライブ! FeliCaへの対応を表明していたコンテンツ事業者は17社あった(9月20日の記事参照)。12月12日現在、ボーダフォンライブ! FeliCa向けにサービス提供しているコンテンツ事業者は、日本航空、全日本空輸、セガ、第一興商、ヨドバシカメラ、タウンポケット、ビットワレット、ゲオの8社となっている。

 先にサービス提供を開始したドコモやauに比べると対応事業者数はまだまだ少ないが、「もちろんキャッチアップは必要。他キャリアでサービス提供をしているところへの営業はしている。これはサービスを開始した順番や、ユーザー数もあることなので、ある程度は仕方ないところだろう。今後は“ボーダフォンだけ”というのは難しいにしても、“ボーダフォンから対応開始”、という(コンテンツ)事業者さんも出てきていいと思っている」(木下氏)

 メーラー/ブラウザを立ち上げる機能や、メッセージ表示などの独自機能に対応したサービスは今のところ存在しないが「仕込んでいる事業者さんがいるとは聞いているので、これからサービスが出てくるはず」(木下氏)とする。ボーダフォンとしては、独自機能も含めて、FeliCa関連機能の仕様書は事業者に公開しているが、特に独自機能を使ってほしい、とアピールすることはないという。「こちらから何ができるかは示すが、それを利用するかどうかは相手(コンテンツ事業者)次第。押し売りはしない」(木下氏)

 なお、JR東日本の「モバイルSuica」(11月14日の記事参照)についてはまだ未定。「話し合いはしているが、スケジュールは未定」というスタンスで、9月の発表時から変わっていないとした。

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