誠

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連載
2005/12/09 10:56 更新

神尾寿の時事日想:
モバイル環境の決済にも電子マネー普及の兆し

タクシーの料金精算、宅配便のキャッシュレス決済など、モバイル決済市場の規模が拡大中だ。“スピード決済”“小銭いらず”など、電子マネーにはこのジャンルに適した特徴がある。

 12月8日、ビットワレットと二葉計器がEdyでタクシー乗車料金の精算ができる車載決済端末の開発を始めたと発表した(12月8日の記事参照)。2006年春頃を目処に、実機提供の開始を目指すという。タクシーやバスの車内、さらに宅配便や各種デリバリーサービスなど、店舗外でのモバイル決済は今後広がりが期待できる分野であり、そこに向けて本格的な電子マネー端末の提供に目処が立ったのは注目である。

 筆者は過日、伊予鉄道の取材でタクシーでの電子マネー利用を体験したが(8月24日の記事参照)、小銭いらずである点と、クレジットカードのように認証の時間がかからないことが、タクシーの降車中のような状況では利便性が高いと感じた。伊予鉄道のタクシー決済用端末はいわゆるハンディターミナルであり、運転手がメーターの運賃を端末に入力し直し、その上でハンディターミナルにおサイフケータイをかざす。しかし、今回ビットワレットと二葉計器が開発した車載端末はメーター連動型であるため、スピード決済への貢献度はさらに高いだろう。

 おサイフケータイを使ったタクシー向けの決済サービスとしてはJCBのQUICPayがあり、こちらも同様の便利さがあるが(8月2日の記事参照)、おサイフケータイ標準搭載アプリのEdyが利用できることはユーザーを選ばないというメリットもある。

急成長するモバイル決済市場。電子マネー参入の効果にも期待

 店舗外での小口決済、いわゆるモバイル決済市場は目下、急成長中だ。この分野の代表は宅配便の代引き着払いやデリバリーサービスであり、通信モジュール内蔵のハンディターミナルによるクレジットカード決済対応などIT化も始まっている。

 例えば、佐川急便のクレジットカード決済サービス「eコレクト」は同社の中でも成長株のひとつであり、2005年9月の中間期実績において取扱個数が約3257万個(前年中間期実績約2475万個)、前期比成長率131.61%の数字を出している。2005年3月期決算における成績では前期比成長率128.1%であり、高水準の成長が続いている。eコレクト端末はNTTドコモの通信モジュールを使用しているため、佐川急便内での急成長は、ドコモのビジネスにもメリットをもたらしているはずだ。

 筆者宅でもよくeコレクトを利用するのだが、玄関口で現金のやりとりがないことは、ユーザーと営業ドライバーの両方に物心共にメリットがある。特に釣り銭の心配がないのがいい。しかし一方で、クレジットカード決済は認証通信やサインをする時間がかかるため、トータルでの決済時間短縮にはそれほど効果をもたらしていないと感じる。より認証時間が短く、手軽な電子マネーが宅配便やデリバリーサービスで利用できるようになれば、ユーザーの利便性が増すだろう。事業者にとっては電子マネー利用手数料の課題があるが、釣り銭の問題がない点や時間短縮のメリットを鑑みれば、導入を検討する価値があるだろう。

 ここ最近の対応表明ラッシュにより、「コンビニで電子マネー」は定着しそうである。今後、大きく広がる電子マネー対応分野として、モバイル決済市場にも注目している。

[神尾寿,ITmedia]

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