L型バッテリーはどこにいった?神尾寿の時事日想

» 2005年11月28日 11時55分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 11月25日、千趣会が運営するベルメゾン生活スタイル研究所は、「スタイルモニターレポートVol.6」として、携帯電話の利用実態に関する調査結果を発表した(11月28日の記事参照)。記事ではおサイフケータイやQRコードの認知率や利用率にフォーカスされているが、筆者は別の部分に注目した。アンケート回答者が、今後の携帯電話において基本機能の充実を求めているという点だ。

 特に「耐久性や長時間使用を望む」というのは、筆者が度々行うグループインタビューでもよく出る要望だ。しかも、その声は女性からのみにとどまらない。

 印象的だったのは、ビジネスユーザーだけを集めたグループインタビューの時に出た“不満”である。主にクルマを仕事で使うユーザーに集まってもらったのだが、そこで噴出したのが、「なぜL型バッテリーがなくなってしまったのか?」である。口火を切ったのは、大手宅配便業者に勤める営業ドライバーだった。

 「昔はL型バッテリーで電池の持ちを伸ばすことができたのに、最近の端末はL型バッテリーが用意されないばかりか、(内蔵化で)バッテリー交換も面倒になっている。仕事で携帯電話を使う機会は増えているのに、バッテリー環境はむしろ使いにくいと感じる」(営業ドライバー)

 むろん、クルマを使うのだからDC充電器を利用する手はある。しかし、「電池がなくなる度に充電していたら仕事にならない」という。

 また、社有車の職業運転手をしている別の参加者は、第3世代携帯電話化の流れが、むしろ“仕事のケータイ”として使いにくい方向に流れていると不満を漏らした。

 「はっきり言って、私には(リッチな)コンテンツや、大きなカラー液晶は必要ないのです。エリアが広くて、バッテリーが長持ちし、あとは使いやすいハンズフリーキットがあればいい。FOMA(など3G携帯)は、仕事では使いにくい方向に進んでいると感じます。L型バッテリーがあった昔のムーバの方が使いやすかった」(職業運転手)

 キャリアがL型バッテリーを廃止していき、交換が面倒な内蔵バッテリーパック化を進めたのは、それらのニーズが限定的で、廃止がコスト削減につながるからだ。また、「バッテリーの容量密度が向上して、標準バッテリーでも一般的なニーズは満たせます。また、端末デザインやサイズが重視される中で(L型バッテリーに)大きなニーズがあるとは思えない」(キャリア関係者)という。それは一面の事実だろう。

 しかし、携帯電話の“長時間利用”については、コンシューマー/ビジネスの双方にニーズがある。特にビジネス向けの携帯電話としてはバッテリーは切実な問題だ。大容量バッテリーを内蔵する一方で、基本機能を重視して消費電力の大きいデバイスを極力廃した「長時間利用向けの3G端末」を用意してもいいのではないだろうか。

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