2005年秋版「おサイフケータイの基礎知識」・後編 特集:FeliCa携帯本格始動 (4/4 ページ)

» 2005年10月29日 02時40分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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キャリア独自の拡張機能は……

 現在のところ、各キャリアともモバイルFeliCa端末で利用できる基本機能は共通しているが、将来的には利用できる機能がキャリアによって異なってくる可能性がある。モバイルFeliCaの機能の中で利用されていない部分を活用するなどして、キャリア独自の拡張機能を付けようとする動きがあるためだ。現在、ドコモとボーダフォンが独自の拡張機能を付ける意向を示しており、いずれもモバイルFeliCaの「三者間通信」機能を利用したものとなっている。

 三者間通信とは、リーダー/ライターからデータをFeliCaチップに送り、そこから携帯に働きかける(アプリを起動するなど)機能だ。三者とは、FeliCaチップ、携帯端末、リーダー/ライターを指す。

 三者間通信はモバイルFeliCaの特徴的な機能で、フェリカネットワークス「かざポン」(2004年11月15日の記事参照)、テックファーム「TOWNPOCKET」(7月16日の記事参照)などのサービスがこの機能を利用しているが、まだあまり利用されていないのが現状だ。

 三者間通信を活用した一例が、ドコモがFOMA 902iシリーズ以降の端末で搭載する新機能「トルカ」だ(11月7日の記事参照)

 トルカは、トルカ機能対応端末をFeliCaのリーダー/ライターにかざすと、クーポンや店舗案内などの情報が携帯電話に取り込めるサービス。トルカで取り込んだ情報は、端末内の“トルカ専用フォルダ”に書き込まれる。メール添付や赤外線を使うと、友達にあげることができる点もポイントだ。なお、現在発売されているおサイフケータイはこのフォルダを持たないため、トルカは利用できない。

 飲食店でクーポンや店舗案内を配信、イベント会場で商品広告やキャンペーン告知を配信、ゲームセンターでiアプリゲームと連動するといった使い方を想定しており、「電子チラシ」「電子クーポン」というイメージに近い。Webサイトでの対応が非常に簡単で、リーダー/ライターも安価に購入できることから、店舗側にとっては、電子マネーなどの従来のFeliCaソリューションに比べて導入が容易というメリットがある。

 またボーダフォンは、店舗のリーダー/ライターを使ってユーザーへメッセージやクーポンを送ったり、リーダー/ライターとおサイフケータイでデータの受け渡しが行われた時に、メロディを鳴らしたり端末を振動させるなどして、視覚障碍・聴覚障碍のユーザーにも利用しやすくするなどのサービスを考えている。これも三者間通信機能を利用したものだ。

 おサイフケータイの利用シーンは現状まだまだ少なく、しかも電子マネーとしての利用がほとんどだ。しかし今後は、電車の切符の代わりに使ったり、社員証として使ったりといった、FeliCaを載せたカードでできていたことがどんどん携帯電話でできるようになっていくだろう。また、通信機能や三者間通信など、モバイルFeliCaならではの新機能を利用した新しいサービスが広まっていくことが期待できる。

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