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2005/10/26 04:50 更新


フェリカネットワークス、おサイフケータイ用クレジットサービスの共通仕様を策定

クレジットカードのショッピング、キャッシングをおサイフケータイで行うためのサービス基本仕様を、フェリカネットワークスが策定、提供する。JCBが中心に共通化を進める“QUICKPay”とは別プラットフォームになる可能性も。

 フェリカネットワークスは10月25日、モバイルFeliCa端末(おサイフケータイ)を使った金融サービスの普及に向け「モバイルFeliCa金融サービス基本仕様」(以下、基本仕様)を策定した。基本仕様は仕様書とガイドライン、計13冊からなるもので、11月から提供を開始する。

 この基本仕様は、金融機関各社をターゲットとしたもの。従来、おサイフケータイを利用したクレジットサービスを提供するには、サービス事業者(クレジットカード会社など)が、携帯アプリの開発から通信ネットワークの確保、各種インタフェースの策定、リーダー/ライターの設置に至るまで、すべて独自に行わなくてはならなかった。この基本仕様に沿って開発することにより、サービス事業者は、おサイフケータイを使ったキャッシングやクレジットショッピングといったクレジットサービスを、従来よりも簡単に構築できるようになる。キャッシング・クレジットといった基本機能に加え、サービス事業者が独自に展開するサービス(ポイントシステム、会員システムなど)も提供できる。

 最大の特徴は、1つのFeliCaチップに2枚のクレジットカード情報を格納できるメモリ構成になっていることだ。複数枚のクレジットカードが入っている場合は、ユーザーがどちらを優先して利用するかをあらかじめ設定しておく。また、サービス事業者独自のサービスを格納するためのメモリブロックも確保されているので、会員証システムやポイントシステムなどの独自サービスも展開できる。

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基本仕様に則ったクレジットカードであれば、2枚のカード情報を格納でき、その場合はユーザーがどちらを優先で使うかを決定する仕様。独自のサービスを展開している場合も対応できる

クレジット事業者向けに、各種の仕様を共通化して提供

 おサイフケータイを利用したクレジットサービスとしてはすでに、JCBが展開するクレジットショッピングサービス「QUICKPay」や、日本信販とUFJ銀行が展開するキャッシングサービス「スマートプラス」(7月29日の記事参照)などが実現されている。しかしこのようなサービスを開始するためには、FeliCaチップのメモリフォーマット設計、対応リーダー/ライター、3キャリア対応の携帯用アプリ開発、セキュリティを考慮した運用設計、運用手順の策定など、各サービス事業者が決定しなくてはならない事項は多岐にわたる。

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システム全体のイメージ。おサイフケータイを利用したクレジットカードシステムを展開するには、ATM/店舗の決済端末/POS端末とネットワークの通信インタフェースや、鍵管理の仕組み、セキュリティ確保のための運用ガイドラインなど、決めなくてはならないことが非常に多い。ここを共通プラットフォーム化することで、サービス導入までの期間・費用を短縮できる

 基本仕様を利用するとこれらの事項を共通化できるため、サービス事業者にとっては、準備にかかる費用や期間を短縮できるメリットがある。また、基本仕様に則ったクレジットサービスを1端末に2枚入れられるので、エンドユーザーにとってもメリットが大きい。

ドコモ、三井住友は基本仕様を採用?

 なお、フェリカネットワークスが基本仕様を発表した同じ25日に、JCBを中心としたクレジットカード会社10社と、KDDI、ボーダフォン、JTBは記者会見を行い、モバイル環境での少額決済を推進する協議会を設立したという発表を行っている(10月25日の記事参照)。この協議会では、JCBが展開するQuickPayをベースに、共通のインフラを利用する計画で、フェリカネットワークスが提唱する基本仕様とは異なるものになる可能性が高い。

 フェリカネットワークスでは、基本仕様の採用を幅広く金融系サービス事業者やシステム構築事業者に呼びかけているが、どの事業者が採用したかについては明らかにしていない。フェリカネットワークス広報部では「ドコモ、三井住友との話は進んでいる」とコメントしている。

種類詳細
モバイルFeliCa金融サービス基本仕様書モバイルFeliCa金融プラットフォームサービスの全体コンセプト、各事業者の役割、機能の概要、金融領域の構造仕様、サービス全体のライフサイクルなどの基本仕様
メモリフォーマット仕様書モバイルFeliCa金融エリアのメモリブロック構成、ユーザーデータブロックに割り当てをする情報を定義したもの
メモリアクセス仕様書(全4編)モバイルFeliCa金融エリアのメモリブロックへのアクセス仕様(1.発行アプリケーション編/2.イシュアアプリケーション編/3.CCT/POS端末編/4.ATM端末編)
エリア発行アプリケーション開発ガイドラインモバイルFeliCa金融エリアを発行するアプリケーションの機能概要、開発のためのガイドライン
イシュアアプリケーション開発ガイドラインモバイルFeliCa金融エリア発行アプリケーションと連携し、金融エリアにイシュアのカード情報をダウンロードするアプリケーションの機能概要、開発のためのガイドライン
CCT/POS端末開発ガイドラインモバイルFeliCa金融サービス基本仕様に基づき、クレジット決済サービスに対応したCCT/POS端末を開発するためのガイドライン
ATM端末開発ガイドラインモバイルFeliCa金融サービス基本仕様に基づき、キャッシングサービスに対応したATM端末を開発するためのガイドライン
セキュリティガイドラインモバイルFeliCa金融サービスの開発と運用に際し、サービス提供の安全性を確保することを目的としたセキュリティ管理のためのガイドライン
端末セキュリティガイドラインモバイルFeliCa金融サービス基本仕様に基づき、開発・製造されるリーダ/ライタ端末について、開発と運用におけるセキュリティ管理のためのガイドライン
鍵運用ガイドラインモバイルFeliCa金融サービスを提供する上で検討が必要なFeliCa鍵の運用に関するガイドライン
基本仕様は3種類(6冊)の仕様書と7冊のガイドライン、計13冊からなる。これを利用してシステム開発をすることで、おサイフケータイに対応した、汎用性・相互運用性の高いクレジットサービスを実現できる。なお、CCTはクレジット決済端末のこと


[吉岡綾乃,ITmedia]

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