日本のモバイルシーンを変える「Migo」インタビュー

» 2005年10月24日 19時21分 公開
[ITmedia]

 日本市場向け製品の記者発表会で「TIME誌(11月21日号)で、2005年の最高発明を特集する記事に取り上げられた」とアナウンスされた「Migo」(10月20日の記事参照)。異なるPC間の環境を、USBメモリで手軽に同期させることのできるソフトウェアだ。外出先で使えるPCが1台あれば、わざわざ仕事用のノートPCの持ち歩く必要がなくなる。

 「英語版のダウンロード数は、今年の8月9日からスタートしたばかりで、数千件になります」と、米国での好調ぶりを語るのは、PowerHouse Technologiesグループ、ワールドワイドセールス担当副社長のランディ・ヘイゲン氏。

 さらにOEMとしての製品出荷は、1カ月あたり100万ユーザーを見込んでいます。またUSBメモリにMigoを組み込むことで、発売開始後、5週間で15万個を販売した商品もあります」

 その米国での人気を踏まえて、日本市場での販売戦略はどうなるのか。アジア・パシフィック営業ディレクターの内藤久義氏に話を聞いた。

左から、プロダクトマネージャーのジェフ・クーサー氏、ワールドワイドセールス担当副社長のランディ・ヘイゲン氏、内藤氏。社員は全員Migoユーザーで、在宅勤務を命ずる「Migoの日」が同社では制定されているとか

ITmedia 米国ではOEM製品への依存度が高い中で、日本語版はダウンロード版、パッケージ版の順で発売され、OEM商品はその後の登場となっています。これはどういった理由からでしょうか。

 「OEM契約についてはまだアナウンスできる段階にありませんが、現在利用可能なU3の(USBにアプリケーションを載せる)プラットフォームに対応しているベンダーは、国内ではアイ・オー・データ機器さんになります。日本ではまず、ダウンロード版で認知度を高めていくことを最優先としています。※U3:SanDiskとM-Systemsが設立した会社

 そもそも、USBメモリの市場はメーカー間の競争が激しいので、Migoを搭載することで商品の付加価値を高めて、他社製品との違いを出しています。日本ではUSBメモリそのものよりも、PDAや携帯電話、音楽プレーヤーなどをUSBメモリとして活用する使い方になるのではないでしょうか」

ITmedia 米国でも、携帯電話をUSBメモリとして使うケースは出てきていますか?

 「米国では以前よりUSBメモリが普及していたこと、それとメモリスロットを持つカメラ付き携帯電話が普及していないという2つの点から、日本の事情とはだいぶ違います。ただ、iPod+Migoの組み合わせに関しては非常に市場の反応がいいです。

 その一方で、iPodを純粋な音楽プレーヤーだと捉えているユーザーも多くて、それをどうやってUSBメモリとして使うように教えていくか、という点が苦労するところですね。日本の場合は、iPodシリーズも売れてますし、マルチユースという考え方も受け入れられやすいので、音楽以外の空いている領域をせひデータでも活用していただきたいと思います」

ITmedia iPodや、ゲーム機であるPSPのユーザー層を考えると、PCの画面を触らずに“コネクタを挿すだけ”で同期が取れるくらい、操作を簡単にする必要がありませんか。

 「現在はまだできていないのですが、USBの特長の1つであるオートラン機能を生かして、今後の新しいバージョンで検討していきます。iPodユーザーはiTunesを使ってますので、同じような操作をイメージされるかもしれませんね。

 また、PDAを使っているモバイルユーザーは、もちろんUSBメモリとしてPC間の同期を取ることもできます。また同期させたWordなどのファイルを直接PDA内で編集することもできますから、だいぶ便利だと思います。」

ITmedia 日本の販売予測はどのくらいを見込んでいるのでしょう。

 「これはOEM契約の進み具合でだいぶ変わってくるのですが、ダウンロード版もOEMも含めて、1年で50万台くらいを予定しています。少なくとも1年は集中して日本の様子を見て、それから中国や韓国向けにも展開していきたいと考えています」

ITmedia 日本のモバイルユーザーに対してコメントをお願いします。

 「10月19日から日本語のサイトをオープンして、商品情報や体験版を提供しています。いつでもどこでも、自分の環境を持ち運べる、非常に使いやすいソフトですので、日本のモバイルユーザーのみなさんにぜひ使っていただきたいというのが、我々の願いです」

 携帯電話やPDAを日ごろから持ち歩いているユーザーならば、出張や残業だからといってカバンにノートPCを詰め込むことから解放される、そんな日がすぐ近くまでやってきているのは間違いなさそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.