新規参入へのローミング「条件面は厳しい」とドコモ

» 2005年09月29日 17時21分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 イー・アクセスやソフトバンクなど、携帯電話事業に新規参入を目指す事業者が主張している、“既存キャリア網”へのローミング。しかし、その実現は一筋縄ではいかないようだ。NTTドコモの中村維夫社長が9月29日に会見し、「条件面は厳しいものにならざるを得ない」と話した。

 ローミングとは他社の通信網を借り受けることで、自社の設備がない地域でもサービスを提供できるようにすること。現在、ツーカーグループ3社は東名阪地域以外に自社の通信設備を持っていないが、ボーダフォンから網を借り受けローミングを行うことで、全国でのサービスを可能にしている。

 新規参入事業者にとってはドコモなどの網を借り受けることで、全国に基地局を設置しなくても早期の全国サービスが可能になる。ドコモの中村氏は「今現在、具体的な話は来ていない」とした上で、例えローミングをするとしてもウィン・ウィンの関係を築く上では期間、地域、料金体系において厳しい条件にならざるを得ないとした。

 これには、新規事業者が全国展開するに当たって必要だと挙げている設備投資額が少ないことも関係している。そもそも、公平な競争を行う上で新規参入事業者の準備が整うまでの間、ローミングが必要なのではないかというのが議論の発端だった(6月22日の記事参照)。しかし、ドコモが3Gの全国ネットワークを整備するのに費やした2兆円あまりの設備投資額に対し、新規参入事業者は3000億円程度で全国展開が可能だとしている(イー・アクセス)。

 「3000億円程度で(全国展開が)できるのであれば、ローミングなんていらないんじゃないか。当初の想定では、(新規参入事業者が全国展開するには)かなり時間がかかるだろうと思っていた。しかし3000億円程度で済むのなら、(全国展開は)一瞬でできるのではないか」(中村氏)

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