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2005/09/22 08:53 更新

神尾寿の時事日想:
自民党圧勝で、高精度GPSケータイが実現する!?

衆議院の総選挙が圧勝で終わったことにより、政権公約に盛り込まれた「測位・空間情報基本法」が成立するのは確実だ。現行GPSの、次の世代の衛星測位システムが実現することは、携帯電話産業にも大きな意味がある。

 自民党の大勝で終わった衆議院の総選挙。小泉旋風が全国を駆け抜ける一方で、将来の携帯電話産業にとっても見過ごせない“追い風”が吹いている。

 今回の総選挙に向けて、自民党は「政権公約2005」を作成、120の約束を国民に提示した。その中身を詳しく見ると、52項「国家基盤としての衛星測位の確立と骨格的空間情報の整備」という項目で、次世代衛星測位システムに言及されている。

「衛星測位の精度と信頼性を国家が保証できる体制を構築し、骨格的空間情報の標準化と整備促進のための「測位・空間情報基本法」を次期通常国会に提出する。」(政権公約2005より引用)

 察しのいい読者ならおわかりだと思うが、これは「準天頂衛星」計画の推進を明言したものだ。GPSシステムの補完を行う準天頂衛星が実現すれば、測位誤差10メートル以下の高精度測位が可能になる。

高精度衛星測位の恩恵が大きいケータイ

 先のコラムでも触れたが(9月8日の記事参照)、現在「ポストGPS」と目される高精度衛星測位システムにおいて、恩恵が大きい分野が携帯電話である。歩行者が持つ携帯電話はクルマよりも高い精度が必要な反面、カーナビなど車載器のように車速センサーや傾斜センサーといった補完センサーシステムの助けが借りられない。現在の歩行者ナビゲーションサービスはマップマッチング技術によって精度を向上させているが、衛星測位そのものの精度が向上するメリットは大きい。例えばEUが推進する「ガリレオ」計画でも、民間のメインマーケットはクルマと携帯電話である。

 今回、自民党が単独過半数を取ったことで、政権公約に盛り込まれた「測位・空間情報基本法」が成立するのはほぼ確実だ。その後、衛星の準備と打ち上げが必要であるが、JAXA(宇宙航空開発機構)では平成20年度以降の打ち上げスケジュールに準天頂衛星3基が組み込まれている。法案が成立し、衛星の準備がスムーズに整えば、2008年には衛星打ち上げ、2010年頃には商用化というシナリオも不可能ではないだろう。

 現在、緊急通報の必要性から携帯電話へのGPS搭載義務化が検討されているが、その後、遠からずして高精度GPSケータイが実現する可能性が出てきた。地図および位置情報コンテンツプロバイダーはもちろん、端末メーカーや他のサービスプロバイダーにとっても、携帯電話向け位置情報サービスの今後は注目しておいて損はない分野と言えそうだ。

[神尾寿,ITmedia]

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