携帯が音楽配信市場の有力チャネルとして定着――矢野経済研究所 (1/2 ページ)

» 2005年09月14日 19時06分 公開
[ITmedia]

 矢野経済研究所は市場調査資料「2005年版 国内移動体通信市場動向調査」の発刊にあたり、9月8日、調査結果の要約を発表した。

 調査対象は国内の携帯電話、PHS端末で、直接面接取材調査などにより、2005年5月から7月中旬まで調査を行った結果をまとめたもの。調査結果によれば、2005年度の携帯電話サービスは未加入者への市場の拡大余地がかなり狭められつつあり、2006年3月期の加入の純増見込みは前年を下回るものと予想されている。

ドコモ、au、ウィルコムは加入者増と予測

 2005年度、国内の携帯電話とPHSの加入者数は、9000万契約の大台を突破。未加入者への市場拡大余地が少ないこともあり、2005年度の加入者数は、9568万6400と予測している。

 加入増加の内訳はNTTドコモとKDDIが多く、ボーダフォンは苦戦すると予測。NTTドコモではFOMAへのシフト、「おサイフケータイ」のラインアップの充実など、数多くの施策が功を奏したことを、KDDIでは「ダブル定額ライト」の導入、「EZテレビ」「安心ナビ」といったサービスの導入や、「CDMA1X WIN」のアドバンテージにより、若年層を中心に幅広い年代からの支持を獲得したことを指摘している。

 これに対し、2005年度に端末ラインアップ、操作性の見直しを行なったボーダフォンは、他社に後れを取っていた料金政策などにも手を付けたものの、プリペイドサービスを重視してきた結果、他社への乗り換えを誘発しやすい状況があること、端末メーカのラインアップに偏りがあることなどなどから、加入の増加は先の2社を大幅に下回るものと予測されている。

 なおPHSは、NTTドコモが新規加入の受付を中止し、アステルグループはサービス終了となる中で、ウィルコムが「ウィルコム契約者間の音声通話定額制」サービスを導入した結果、NTTドコモ、KDDIに次ぐ純増数を記録。2006年3月期にも、ボーダフォンを上回る加入の純増が見込まれている。

2005年モバイルFeliCa端末の出荷台数見込みは1750万台

 2005年度の携帯電話端末の出荷見込みはほぼ横ばい。第一四半期の出荷は伸び悩んだものの、3Gへの本格移行が進むことに加え、モバイルFelica対応、音楽再生機能付携帯電話機の導入が買い替えを促進することが予想されている。また、ウィルコムが契約者間の音声通話定額制サービスを導入した結果、PHSの出荷台数は増加。下半期にはコアモジュール端末の提供も計画されており、2005年度の出荷は2004年度実績の倍増となる見込みだ。

2005年度メーカー別端末出荷台数見込み

 その他、同調査では端末の特徴ごとの出荷動向もまとめられている。カメラ搭載携帯電話は、2003年に100万画素、200万画素と相次いで高画素モデルが投入された結果、2004年は300万画素モデルが導入された以外、画素競争は収束方向に向かった。2004年度実績で普及率93.2パーセントに達したことから、カメラ搭載機の出荷台数も、前年割れを記録している。ただし、W-CDMA機の増加に伴って、テレビ電話用のインカメラ需要が拡大。10万、30万画素クラスのモジュール搭載量が増加すると予測している。

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