メディアソケット「聴かせて検索」の場合 BREWアプリの“売り方”を考える・前編: (2/2 ページ)

» 2005年09月14日 11時56分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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端末自体の機能のように作り込めるのがBREWの強み

 聴かせて検索アプリを開発したのはメディアソケットだが、発表はKDDIから「W32SA」「W31T」「A5511T」の発表時に、同機種で利用できるサービスとして行われた(5月23日の記事参照)。対応する携帯電話にプリインストールされており、ユーザーからは端末の機能のように見える。対応端末ユーザーであれば、サービス登録すればすぐに利用できる。聴かせて検索アプリの利用料は、月額210円だ。

 プリインストールされたアプリは、ダウンロードアプリに比べ、対応端末ユーザーの多くに使ってもらえる可能性が高いが、半面、対応機種以外のユーザーは見込めない。「仕組みとしては、ダウンロードアプリとして作ることももちろんできた。ただ今回は、KDDIが『音楽に関していろいろなことができる端末』を志向しており、その方向にマッチしていたので、(ダウンロードアプリではなく)プリインストールされた、端末の機能として提供することになった。こちらとしても端末の機能として提供したかった」(西本氏)。メディアソケットとしても、聴かせて検索はダウンロードアプリではなく、機能として提供したかったという。

 「(アプリを)端末の機能のように作り込めるのは、BREWのいいところだと思う。例えば、EZ・FM(au端末でFMラジオを聴く機能)なども、BREWアプリで実現されている機能だ。このようにハードウェアに密接したアプリを作れることは、端末メーカーにとっても、キャリアにとっても、そしてアプリを作るメーカーにとっても有益なことだ。もしBREWでこういうことができなかったら、すべて組み込みでやらなくてはならなくなる」(西本氏)

 西本氏は、BREWの意義について「勝手アプリが作れないなど、『管理されている』面はあるが、それだからこそ携帯の戦略に沿ったアプリが作れるとも言える」と話す。聴かせて検索の位置づけを考えると非常に納得がいく言葉だ。しかしこれは、BREWに早くから取り組み、端末のプリインストールアプリとして採用されるほど、KDDIと深い関係を築けているメーカーだからこそ出てくる発言だとも言える。

 メディアソケットのようなメーカーと違い、比較的最近BREWに取り組むようになったソフトメーカーは、実用アプリをどのように流通・販売しようとしているのだろうか? 後編では日立システムの例を見ていこう。

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