登場して1年、モバイルセントレックスの現在は? (1/2 ページ)

» 2005年09月08日 05時53分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 沖電気は9月7日、「モバイルセントレックス最前線」と題したセミナーを開催した。沖電気工業、NTTドコモがモバイルセントレックスの現状や今後の取り組みについて、またイトーキは同社の導入事例について説明した。

PASSAGE DUPLEを実運用している会社は約50社

 ドコモのモバイルセントレックスソリューション「PASSAGE DUPLE」が登場したのは2004年の11月、登場して約1年弱が経とうとしている。

 1年で何が変わったか、やってみて分かったこと、現在取り組んでいることなど、PASSAGE DUPLEの最新事情について、NTTドコモ法人営業本部プロダクトビジネス部第一サービス推進担当部長の安田準氏が講演を行った。

NTTドコモ法人営業本部プロダクトビジネス部第一サービス推進担当部長、安田準氏

 “モバイルセントレックスとは、携帯電話だけで内線電話網を構築できるサービスのこと”と安田氏はまず定義。実現には2つの方法を考えている、と話す。

 単に携帯を内線として利用できるようになる簡易な方法として、屋内に小型基地局を設置、FOMA端末をそのまま内線として利用できるシステムを準備中だという。この場合はN900iLだけでなく、FOMA端末をどれでも利用できるようになる。

 もう1つはすでに提供されているPASSAGE DUPLEだ。無線LAN&FOMAデュアル端末「N900iL」を利用、無線LANと3Gネットワークを組み合わせたシステムだ。無線LANの部分を上手く利用すれば、音声通話だけでなく、プレゼンス情報やインスタントメッセージ機能も使えるようになる。

 現在、PASSAGE DUPLEを導入している会社は約200社。このうち実運用に至っているのは約50社で、残りはテスト運用や、部分的に導入した例だ。

 オフィスに無線LANを導入する例は珍しくないが、安定した品質の音声通話を無線LANで実現するのは難しい。天井が薄くて電波が上下階に漏れて干渉する、通りの反対にある他の会社の無線LANアクセスポイントが干渉する、近所のコンビニに置かれた電子レンジの電波が干渉する……現場ではさまざまなことが起きる。

 PASSAGE DUPLEを始めてすぐの頃は、実際に導入・運用してみたものの、音声品質が保てない、片通話、圏外になってしまうなどの不具合が出たという。安定した音声通話を無線LANで実現するには、事前の綿密な調査と、それに基づく正しい設計が必須、と安田氏は話す。

 PASSAGE DUPLEに対応する現行端末はN900iLのみだが、N900iLの機能強化を考えているという。例えば現在のPASSAGE DUPLEでは、会社の無線LANアクセスポイントにしか接続できないが、ドコモの公衆無線LANサービス「MZone」へアクセス可能にする予定だ。「ただ、公衆無線LANで音声サービスをするには、いろいろ基準を決めることが必要になってくると思う」とする。

 また、「N900iLは主力商品という位置づけ。新しいものなので『後継はないんですか?』と聞かれることがあるが、もちろん次も開発中」(安田氏)と、後継機の発表を匂わせた。

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