ドコモ四国愛媛支店が考える「おサイフケータイ戦略」(前編)神尾寿の時事日想: (2/3 ページ)

» 2005年09月01日 16時53分 公開
[ITmedia]

 そこで白羽の矢を立てたのが、愛媛県松山市の観光スポットとして有名な「道後温泉」である。

 「道後温泉は全国的なネームバリューがある。当時、温泉街でのおサイフケータイ対応はありませんでしたから、“全国初”の事例としてニュース性があり、メディアに取り上げられる効果が期待できました。さらに観光地ですから、Edyを採用することで(カード事業でEdyに積極的な)全日空(ANA)と連携するプランを考えました。こうすればインフラ整備の負担を折衷できます。全国初の事例でANAと提携すれば、広告宣伝費の負担も減らせる」(大西氏)

 道後温泉は歴史の古い商店街であり、それゆえに電子マネー導入やおサイフケータイ対応に消極的な意見も聞かれたという。しかし、愛媛支店の積極的な姿勢が受け入れられて、2005年2月に商店街57店舗のうち56店舗、ホテル・旅館の33店舗中23店舗が、Edyを採用。自動的におサイフケータイも利用できるようになった。また、「最も重要な施設である道後温泉本館や周辺の美術館など市営施設も巻き込み、『道後をあげて』の面エリア構築を実現した」(大西氏)という。

道後温泉街にあるほとんどの店舗でEdyの利用が可能。ドコモ四国愛媛支店とANAが共同で、「Edyでマイルがたまる」キャンペーンにも取り組んだ

第2段階が「伊予鉄」の取り組み

 道後温泉のEdy導入は、県内外に有名な場所を面エリアとすることで、おサイフケータイの認知度をあげるPR要素が強いものだった。この波及効果は予想以上に大きく、外務省が海外向けに作るプロモーションビデオでも紹介された。

 そして2005年3月から8月にかけて取り組まれたのが、本格的な「普及促進」に向けた日常シーンでの利用エリア整備だ。これが伊予鉄のモバイルい〜カードの実現である。

 「電車・バスというのは日常的なニーズですから、ここでおサイフケータイが利用できるようになれば普及に弾みがつく。幸い、伊予鉄がICカード導入の準備をしていましたので、2004年の実証試験の段階から我々も参加させていただきました。また、伊予鉄がeカードを設立する際には、ドコモ四国も資本参加しています」(大西氏)

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