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2005/08/29 11:36 更新
神尾寿の時事日想: 
ウィルコム、“音声端末”への期待
音声定額サービスがヒットし、新規契約者が順調に伸び続けているウィルコム。音声端末のラインアップ強化が期待されるが、どのような端末ニーズが考えられるだろうか。
8月26日、モバイルコンテンツフォーラムのセミナーで、ウィルコム営業開発部長の太田靖士氏が講演を行い「今後の取り組みとして、音声サービスと音声端末にも注力する」と話した(8月26日の記事参照)。
筆者が過日、ウィルコムの八剱洋一郎社長にインタビューした際にも、同社の「音声定額」の発表により、「音声通話の多いビジネス(コンシューマー)ユーザーや法人(顧客)からの問い合わせが増えた」と、音声サービスの成長に期待をのぞかせるコメントがあった。ウィルコムでは音声定額を足がかりに、今後、PHSの特徴である「音質のよさ」なども訴求していきたいという。
「ビジネス向け」端末が成長の鍵
ウィルコムの音声サービスの成長を考えた場合、重要になるのは「ビジネス向け」端末の投入だろう。ウィルコムでは公式コンテンツの拡充や端末ラインナップの拡大に力を入れていく方針というが、この分野で携帯電話のレベルに追いつくには時間がかかるからだ。特に端末に対するコンシューマーニーズは、本体デザインや音楽再生機能、おサイフケータイなど、付加価値要素の占めるウェイトが大きくなってきている。ウィルコムの音声サービスに魅力があっても、コンシューマーやビジネスコンシューマーユーザーが、それだけで乗り換えるとは考えにくい。
一方、ビジネスコンシューマーが2台目として持つ「仕事用音声端末」や、法人の「業務用端末」ならば、端末のデザインや付加価値機能の重要性はさほど高くなくなる。音声サービスのコストメリットはもちろん、PHSの「コンパクトさ」や「音質のよさ」、「バッテリー持続時間の長さ」が評価されるだろう。例えば、ビジネス向けならば、音声とメール利用が中心の小型・軽量で堅牢なストレート型端末という商品企画もあり得る。
ウィルコムでも、この分野をターゲットにする方針を持っており、「ジャケットフォン(W-SIM)。の狙いはまず、法人ニーズにある」(八剱社長)と認めている。ビジネスコンシューマーの“2台目市場”も積極的に狙っていくという。
コンシューマーは裾野にチャンスか
コンシューマー層に、ウィルコムのチャンスがまったくないわけではない。
例えば、「音質がよい」や「バッテリー持続時間が長い」、「価格が安い」というのは、シルバー層向けにも訴求力がある。特に音質は重要だ。筆者は以前、50代〜70代の携帯電話ユーザーのグループインタビューをした事があるのだが、彼らの声として多かったのが「携帯電話の音は聞き取りづらい」というものだった。
また、日本ではあまり話題にならないが、欧米では携帯電話の電磁波への不安が根強く、特に子どもの利用には警戒感がある。筆者と親交のある在仏のジャーナリストによると、「欧州では子どもには(携帯電話が頭に触れない)イヤホンマイクの利用を徹底させたり、そもそも使わせないようにする親が多い」という。
携帯電話の発する電磁波の健康への影響は各国で研究中であり、議論されている段階だ。日本の総務省は「影響はない」というスタンスをいち早く取ったが、子ども向けに限れば「それでも電磁波は少ないほどよい」と考える親は少なくないはずだ。低電磁波であるPHSはアピール次第で子ども向けとして大きな訴求力を持つだろう(8月24日の記事参照)。さらにW-SIMで、子ども向けの様々な製品と融合した端末も作れるとなれば、この市場でウィルコムが成長する可能性がある。
今の携帯電話業界は大規模化し、サービスも端末も、マスニーズ中心のビジネスに偏りがちだ。独自路線を取ることが可能になったウィルコムには、サービスと端末の両面で裾野の拡大と開拓に期待したいと思う。
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[神尾寿,ITmedia]
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