おサイフケータイで、松山市を散策してみた(2/2 ページ)

» 2005年08月24日 06時30分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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タクシーはハンディターミナルで対応

 一方、い〜カードのもう1つの目玉がタクシーの対応だ。松山市は公共交通が発展した街であるが、シームレスな交通決済サービスを目指すため、当初からのタクシー対応は重視したポイントだという。

 とはいえ、市内すべてのタクシーがい〜カードに対応しているわけではない。電車や路面電車、バスと異なり、タクシーは伊予鉄グループ以外の事業者も存在するため、まずは「いよてつタクシー」のみが対応している。

 タクシーでのおサイフケータイ利用では、降車時に運転手がハンディターミナルを取り出し、そこにカードもしくはケータイをかざすという仕組みだ。伊予鉄としては、グループ以外のタクシー事業者にもい〜カード対応を積極的に呼びかけていくという。

カード、携帯が使える「いよてつタクシー」

駅に戻れば……

 市内をぐるりと散策し、松山市駅に戻ると、一般利用客がい〜カード改札口から出入りする場面に遭遇した。

 駅に取り付けられたい〜カード専用改札口は、紙の切符や磁気式のプリペイドカードは受け付けない。非接触ICの利用のみに限定し、「ゲート式改札機のような威圧感を与えず、お客様が気持ちよく利用できるデザイン」(開発担当者)を重視して作ったという。

 ゲートがないというと不正利用の心配があるが、なるほど、ここまで開放的で大らかだと、逆に不正利用がしにくいのではないか。デザイン的にも、一般的なゲート式改札機より優れている。

 たった1日であるが、おサイフケータイで街を移動してみて感じたのが、「シームレスに移動できる気持ちよさ」だ。電車、路面電車、バスにタクシー。どれに乗っても、同じカードかケータイをかざせばOKというのは、思った以上に気分がよい。まさに“散歩感覚”で公共交通が利用できる。

 東京では2006年1月にJR東日本のモバイルSuicaがスタートし、その後には私鉄・バス各線が採用するパスネットカードとSuicaの相互乗り入れが控えている。おサイフケータイもこの時、Suicaとパスネット両方の路線で使えるようになる可能性が高い。

 松山市で感じたシームレスな移動の気持ちよさ。早く東京でも味わいたいものである。

街を挙げての“おサイフケータイ祭り”?

 松山市を散策して驚いたのが、街中がい〜カードとドコモのおサイフケータイの広告でいっぱいだったことだ。伊予鉄道とドコモ四国はい〜カード事業で協力体制を取っており、今朝の地元紙には2面を使った見開き広告が掲載されていた。

 オープンセレモニーに出席していたNTTドコモ四国愛媛支店ソリューション営業部長の細川正則氏によると、「愛媛県は四国の中でもおサイフケータイの売れ行きが好調な地域」だという。今後、市内の足である公共交通の大半がおサイフケータイ対応になることで、さらに利用者の増加と利用率の向上に期待できるという。

 東京に先んじて、電車をはじめとする公共交通がおサイフケータイ対応になった松山市。今後のユーザーの動向にも注目だろう。

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