BREWとは何か?(後編) 特集:BREW最新事情(2/2 ページ)

» 2005年08月10日 20時05分 公開
[平野正喜,ITmedia]
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BREW+FeliCaを活用するソリューション

 ビジネス向けのBREWアプリケーションに力を入れており、FeliCaとBREWを組み合わせたソリューションを重点的に開発していく、としているのがアイ・ウェイブ・デザインだ(6月1日の記事参照)。同社はモバイルインパルスが運営する「オシャレライフ」「ウエストゲート」という携帯コマースサイトのシステムを構築しているが、そこで、今年の夏を目処に、新しいFeliCa決済の仕組みを導入予定だという。

 「おサイフケータイ」というキャッチフレーズが使われていることもあり、電子マネーとしての印象が一般的には強いFeliCaだが、決済処理に加え、簡単に個人認証ができるのも大きなメリットだ。また、BREWベースであれば、万が一落とした場合などにはサーバーから端末のデータを消去するなどの処置が取れる。「BREW+FeliCa」の組み合わせであれば、携帯コマースサイトに必要な「個人認証+決済」をFeliCaが担い、「セキュリティ」という面ではBREWの機能を使うことができるのだ。

BREWlinkを活用するソリューション

 「BREWlink」とは、KDDIが提供している、企業のイントラネットにBREWアプリからアクセス回線を経由しての接続が可能となるサービスである(プレスリリース)。インターネットを経由せず、閉じた専用線を使うため、BREWアプリケーションによる通信を安全に利用できることが特徴である。

BREWlinkのネットワークイメージ

 この「BREWlink」を活用したソリューションが、日本インテグラート、アイ・ウェイブ・デザイン、アシストによる「ウェブハロー」BREW対応版だ(5月13日の記事参照)

 「ウェブハロー」は営業支援用ビジネスアプリであり、スケジュール機能やカレンダー機能、営業活動報告、商談進捗管理、ナレッジ共有などが行える。KDDIはユーザー3000人超という、ウェブハローの最大手ユーザーであり、当然、BREW版ウェブハローを導入している。販売を担当するアシストでは、BREW版を含むウェブハローの売上として1年間で3億円の売上げを目指しているとしており、今後の展開に注目したい。また、初期導入コストおよびランニングコストを抑えるためにBREW版を含めて、ウェブハローのASPサービスも提供する予定だという。

 このように、現在ではBREWを使った、さまざまなビジネスソリューションが利用されている。BREWが決して「ゲーム向け」だけではないことが分かるだろう。

 本特集では「携帯電話のアプリケーションプラットフォーム」という枠組みを押し広げながら進歩を続けるBREWの現状と今後の姿を、“ビジネス”モバイルの観点から描き出すことを目標としたい。BREWに関わるキーパーソンたちへのインタビューを交えながら、BREWの真の顔と、そこに秘められた可能性に迫っていこう。


平野正喜

 プログラマ、システムエンジニアとして多くのIT資格を取得、資格教育やサイバーセキュリティを主とする技術者教育にも携わる。個人としては、オープンソースであるフリーソフトウェアを次々と開発・発表。

 2002年からはフリーの講士、コンサルタントとなり、技術力、提案力、表現力のある次世代プロフェッショナルの育成に燃えている。

 著書:ケータイビジネスを革新する技術BREW(ブリュー)―第三世代携帯電話の次を目指すクアルコムの戦略に迫る

 BLOG:ランドッグ・オーグ平野正喜事務所

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