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2005/07/28 14:33 更新

モバイル社会フォーラム2005:
何のための携帯か――親と子どもの埋めがたいギャップ (1/3)

携帯で子どもと連絡が取れると考える親、携帯があるから自由になれる、友達と仲良くなれると考える子ども。親と子どもの間には、大きな意識のズレがあるようだ。

 7月26日、モバイル社会研究所の主催するフォーラムが開催された。テーマは「モバイル社会フォーラム2005:子どもとモバイルメディア〜わたしたちの役割を考える〜」。モバイル社会研究所は、2004年4月にNTTドコモ本社内に設立された内部組織だ。急激な普及の影で、社会的な批判も数多い携帯電話の、特に“影”の部分を取り上げ、中立的な立場から研究していこうとする団体である。

 最近は大人だけでなく、子どもにも急速に携帯電話が普及している。「子どもと携帯電話はどのように付き合っていくべきか」をテーマに、精神科医や小学校教諭、高等学校教諭、大学の社会情報学の教授など、さまざまな立場の講演者が発表を行った。

「情報モラル教育」が足りない

 インターネットや携帯電話から入ってくる情報と、どのようにつきあっていくべきか。小学校の教員で文部科学省の情報教育検討会委員なども務める野間俊彦氏と、都立高校教諭でインターネットを教育に活用するプロジェクトなどに携わる榎本竜二氏が共に強調するのが「情報モラル指導の必要性・重要性」だ。

 文部科学省では「教育の情報化」を掲げ、「2005年末までに教室からインターネットが使える環境を作る」「校内LANの整備、学校に10台のPCを備える」「2005年度末までに、すべての教員がPCを使って授業ができる」などを目標に取り組みを進めている。ここで言う「情報化」とは、PCを使ったインターネット接続を意識したものになっている。

 しかし実際の授業で教えられているのは、表計算ソフトやワープロの扱いなど操作的なものが多く、「情報にどう接するか」という点まで踏み込めていない学校がほとんど。野間氏は、「9割以上の教員は、情報モラル教育が必要と感じつつも“どう教えていいか分からない”“教材がない”“(小学校の)学習指導要領に情報モラル指導という記述はない”などの理由により、情報モラル指導は実践されていない」と指摘する。

 PCインターネットの情報モラル教育よりもさらに行われていないのが、携帯インターネットの情報モラル教育だ。

 モバイル社会研究所のリサーチャーである遊橋裕泰氏が示した調査結果によれば、小学生の24%、中学生の67%、そして高校生の100%近くが携帯電話やPHSを保有している。子どもの携帯電話・PHS所持率は急激に上がっており、特に普及が伸びているのが中学生であるという。

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中学生の携帯電話・PHS所有率。短期間で急増している

 現実として、ケータイはこれだけ子どもたちの間で普及しているが、学校では「携帯電話・PHSの所持は禁止」としているところが多く、ケータイをどのように使ったらいいかを子どもに教える段階には至っていないところがほとんどだ。「学校ではケータイを禁止しているのに、寝た子を起こすようなことをしなくても」という意見の教員もいるという。

親と子どもとで「携帯を持つ理由」がずれている

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[吉岡綾乃,ITmedia]

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