おサイフケータイ対応マンション、入居者の本音を聞く神尾寿の時事日想(1/2 ページ)

» 2005年07月22日 17時22分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 おサイフケータイ対応の電子錠をいち早く開発し、導入マンションを手がけてきたKESAKAシステム。今日の時事日想では、入居者がおサイフケータイをどう受け入れているかを紹介したい。

 インタビューに応じてくれたのは、ジョイナス吉塚に暮らす末長久子さんと、アテネOP博多に暮らす沖田有史さんだ。別項で詳しく紹介している通り、ジョイナス吉塚は分譲タイプ、アテネOP博多は賃貸タイプで、どちらもおサイフケータイを電子錠に使っているマンションである(7月21日の記事参照)

アテネOP博多に住む沖田有史さん(左)と、ジョイナス吉塚に住む末長久子さん(右)

セキュリティの訴求力はあるか

 おサイフケータイ対応マンションの訴求ポイントは、FeliCaを使ったセキュリティと利便性の両立である。しかし、実際のところ入居者にとって「おサイフケータイ対応によるセキュリティ」は、どれだけ訴求力があったのか。

 この分野を最も重視したと話すのは、末長さんだ。

 「(物件を)内覧した時におサイフケータイ対応の話を聞いて、実際に見せてもらったんですが、これが購入の決め手になりました。なにしろマンションのどこにも鍵穴がないのですから。セキュリティは最も重視したポイントですね」(末長さん)

 一方、沖田さんは入居時の判断において、セキュリティは3番目のポイントだったと話す。「私の場合、優先順位は家賃、立地、セキュリティの順ですね。どちらかというと、かざせば(鍵が)開くという便利さの方に魅力を感じました」(沖田さん)

 沖田さんの住むアテネOP博多には合計7基の監視カメラもあるのだが、これらも「あまり使っていないですね。ただ、エントランスのカメラで(立体機械式)駐車場が混んでないかを確認することはあります」(沖田さん)という。

 入居後、実感した便利なセキュリティサービスについては、2人とも「施錠確認」で意見が一致した。

 「うちは共働きで子どももいるのですが、私が最後に家を出た時以外は、ケータイで(外出先から)施錠確認をしています。これは本当に便利だし、安心です」(末長さん)

 末長さんは他にも、子どもが帰宅するとメールで連絡が入る「メッセージ通知サービス」を日常的に使っているという。共働きファミリー層が増える中で、おサイフケータイ電子錠の持つ「安心」のネットワークサービスは訴求力があると言えそうだ。

ケータイ対応の価格は高くない

 アテネOP博多、ジョイナス吉塚が対応するおサイフケータイ向け電子錠サービス「kesakaサービス」では、月額420円の利用料が発生する。これは従来の鍵や、FeliCaカード利用時には必要のないランニングコストだが、それに対する抵抗感はないのだろうか。

 「他にもケータイコンテンツ利用料はいろいろ払ってますからね。携帯電話利用料と一緒に請求されるからかもしれませんが、あまり高いとは感じません」(沖田さん)

 「単なる鍵(機能)だけだったら高いと思いますが、いろいろなサービスが付いてますから。それらを考えると高いとは感じません」(末長さん)

 また、2人とも入居にあわせて携帯電話をおサイフケータイに機種変更したという。この追加負担も、電子錠サービスの便利さの前には、気にならなかったという。

課題は「対応端末/エリア」と「設定の煩雑さ」

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