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2005/07/20 16:22 更新

神尾寿の時事日想:
おサイフケータイに鍵が加わると何が変わる?──KESAKAシステム (1/2)

FeliCa携帯をマンション向けの電子錠として使うシステムを早くから構築してきたのが福岡市のKESAKAシステムだ。FeliCaが鍵にもたらした変化とは?KESAKAシステムの早川社長に聞いていく。

 NTTドコモの商標「おサイフケータイ」の急速な広まりにより、FeliCa携帯=電子マネー決済のイメージは根強い。しかし、その中で初期からFeliCa携帯の“電子鍵”の面に着目し、マンション向けのFeliCa電子錠システムを構築。おサイフケータイにいち早く対応したサービスを始めたのが、福岡県福岡市にあるKESAKAシステムである。同社のおサイフケータイ対応システムは九州地区を中心に複数のマンションに導入され、すでに稼働している(2004年11月11日の記事参照)

 FeliCa携帯は不動産業界に何をもたらすのか。福岡のKESAKAシステム本社で、同社社長の早川眞市氏に単独インタビューを行った。

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KESAKAシステム社長の早川眞市氏

“不動産管理”の立場からFeliCaに注目

 KESAKAシステムは、なぜおサイフケータイに注目したのか。

 それを知る上で重要になるのが、KESAKAシステムの出自だ。同社は西日本を中心に不動産業全般を手がける早川不動産の関連子会社として平成16年に誕生している。不動産業の“実態”を知り抜く立場から生まれたFeliCaソリューション開発企業だ。

 「私どもは50年以上、(早川不動産として)不動産管理業を中心にこの世界を見てきています。不動産管理業は立場的にマンションオーナーのニーズや悩みと、お客様のニーズの両方を知る立場にある。また、我々自身としても、単なる物件管理をしているだけでは生き残れないほど激しい競争にさらされている。(FeliCaビジネス参入の前に)新たなビジネスに乗り出さなければならなかったという現実があります」(早川氏)

 その中で、早川不動産が注目したのが、マンションオーナーの大きな悩みのひとつである「空室対策」だ。KESAKAシステム設立前の平成10年、早川不動産はデイリーマンション事業を開始。マンション空室の一部を1日単位・格安で貸すことで、マンションオーナーの新たな収益源とし、不動産管理業の新ビジネスにした。

 だがこれは一方で、新たな問題を顕在化させたという。

 「これはやってみて分かったんですが(笑) デイリーマンションというのは非常に手のかかるビジネスなんですね。鍵をすべて管理し、お客様と受け渡しをし、利用期間が終わったら安全に回収しなければならない。これらにかかる手間とコストは、管理者にとってかなりの負担です。デイリーマンションをやってみて気づいたのが、『鍵の情報化』と『(利用権のある)本人確認』の必要性です。また、これらは一般の賃貸物件でも今後重要になると考えました」(早川氏)

 賃貸マンションオーナーにとって、空室と同じく悩みのタネなのが、「家賃の滞納」なのだという。デイリーマンションでも利用期間が終わっても退室しないユーザーは問題だ。

 「不動産業界を取り巻く現状や今後を考えますと、流動性の高い物件というのは市場ニーズがあります。しかし、それは管理コストやリスクの問題を抱えているのです。鍵の利用権を設定し、鍵交換がいらないシステムが作れないか。我々がおサイフケータイに注目し、KESAKAシステムを設立した背景には、これらのニーズがあります」(早川氏)

入居者ニーズは「セキュリティ」「利便性」

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