携帯電話内のデータ、個人情報かどうかはどこで決まる? (2/2 ページ)

» 2005年07月08日 19時37分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
前のページへ 1|2       
そもそも個人情報保護法とは?

 個人情報保護法の目的は、個人情報を利用しないようにしようとすることではない。目的外の利用を制限すると共に、ルールをはっきりさせ、個人情報の適切な利用を促進するのが目的だ。

 経済産業省では、経済産業分野における個人情報管理についてのガイドラインを出している。「他省庁のガイドラインに比べると、法律をかみ砕いたような、一般に適用されるようなルールになっているのが特徴。これに基づいて、それぞれの企業や分野で、自主的に適切なルールを作って運営してもらえばいい」と斉藤氏は話す。一口に個人情報といっても、顧客名簿から医者のカルテに至るまで多種多様。企業や職種によって、扱う個人情報のレベルもさまざまなため、適切なルールを作って実際の運用を行い、それに沿って十分なセキュリティを確保することが大切、というわけだ。

 そもそも個人情報保護法で保護されるべき“個人情報”とは何を指すのだろう? 法律上では「生存する個人に関する情報」「特定の個人を識別することができるもの」と定めている。

 その情報単体では個人を特定できなくても、ほかの情報と容易に照合でき、それにより特定の個人を容易に識別できるものも、対象に含まれる。例えば、防犯カメラに写った、本人が判別できる映像情報や、“keizai_ichiro@meti.go.jp”といった、本人の氏名や所属団体が特定できるようなメールアドレスはこれに含まれる。

 逆に、企業の財務情報など、団体そのものに関する情報や、特定の個人を識別できない統計情報などは個人情報にはならない。メールアドレスの例だと、abc012345@xyz.jpといった、数字や記号の羅列で、個人が特定できないものは個人情報にならない。

 次に、個人情報を含む情報の集合物である“個人情報データベース”の定義だが、ガイドラインでは「特定の個人情報を電子計算機を用いて検索できるよう体系的に構成したもの」「特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの」となっている。

 例えば、名刺の情報を業務用PCで入力・整理し、他人から簡単に検索できる状態になっている場合などが前者のケースに当たる。コンピュータを用いず、紙媒体の場合でも「個人情報を一定の規則に従って整理・分類し、目次・索引などを付し、他人によっても容易に検索可能な状態に置いているもの」は個人情報に当たるとガイドラインでは定めている。例えば、あいうえお順に整理されたカルテなどがこれに当たる。逆に、段ボールにアンケートの戻りハガキが分類されずに入っている、といったケースは、個人情報データベースにはならない。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.