ネットワークとサービスの品質向上でトータルの顧客満足度を上げる──KDDIキーマンが語るワイヤレス業界のこれから(2/4 ページ)

» 2005年07月05日 18時15分 公開
[本田雅一,ITmedia]

ITmedia上り速度が向上することで、携帯電話のアプリケーションにはどのような変化が起こると考えていますか?

安田 これまで(不可能ではないが)利用しにくかったサービスが、ずっと手軽に利用可能になります。たとえば、携帯電話にメガピクセルカメラが内蔵され始めていますが、その写真を縮小することなく、手軽に送信できるようになります。料金的にも定額プランにさえ入っておいていただければ問題はありません。写真以外にも動画を送るということもあるでしょうね。サーバにアップロードしておき、みんなで共有したり、あるいはブログの記事を書くときにも使えるでしょう。

 さらにこのサービスは海外展開も考えています。海外で撮影した画像をサーバにアップロードしておくと、自宅に帰ったときにはすでに写真プリントが届いている。そんなサービスも可能になります。PCではインターネットの発達によって当たり前になっていることですが、携帯電話が対応することで市場はもっともっと大きなものになります。

ITmedia上り速度の制限が緩和されれば、すでに導入している定額プランを含め、携帯電話であることの制限、特殊性が薄れますね。

安田 “よりFMC(Fixed-Mobile Convergence、固定と移動の融合)的になる”とも言えるでしょう。固定系の通信手段と移動系の区別がなくなります。そうなればサービスを実装する場合も、あえて携帯電話である事を意識した実装にする必要がなくなり、より幅広いアプリケーションを提案できます。

ITmedia上り速度向上によってサービスの幅を拡大する。それがMNPと絡んで、どのように市場が動くことを期待しているのでしょう。

安田 MNPが実施されれば、今までは電話番号で縛られていた他社ユーザーに、auを使ってもらえる可能性が高くなります。そのために魅力的なサービスを準備するのはもちろんですが、ユニークなネットワークによるユニークなサービスは、電話番号以上にユーザーを惹き付けることができるでしょう。1度契約してもらい、auのサービスを使い始めると、もう他には戻れなくなる。そういったサービスを生み出すことが大切です。

 私自身も以前はサービス開発を行ってきた経験がありますが、携帯電話の機種を変更してもサービスはそのまま継続して受けることができます。コンテンツも同じです。他社が提供していない、あるいは他社のネットワークでは実現しにくいサービスを考えることですね。現状で言えば、着うたフルもそうでしょう。しかし、いずれは他社も始めるでしょうから、そのときまでにはさらに次のサービスを用意します」

生活に密着した、新しいサービスを

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