5分で分かる、今週のモバイル事情6月18日〜6月24日

» 2005年06月24日 23時18分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

荒ぶる新規参入──ウィルコムからSo-netまで

 2006年以降に向けて、携帯新規参入の話題が尽きない。1.7GHz帯でW-CDMA方式による新規参入を目指すイー・アクセスの回線を使い、ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)が携帯サービスを行う可能性が出てきた(6月23日の記事参照)。実現すれば、「So-netケータイ」となる。

 これはMNVOと呼ばれる仕組みを使う。イー・アクセスが携帯電話のインフラを構築し、サービス自体は他社が行う(2月10日の記事参照)。SCNのほか、ニフティ、トーカイ・ブロードなどがMVNOを検討している(6月2日の記事参照)。

 新規参入に認められるのは、1.7GHz帯と2GHz(6月3日の記事参照)。この2GHz帯に、PHSキャリアであるウィルコムも手を挙げるかもしれない(6月21日の記事参照)。同社は現在の延長線上で「高度化PHS」と呼ばれる1Mbps程度のサービスを提供する予定だが、“その次”をにらみ2GHz帯を狙う。同社は通信方式も決まっていないとしている。

 2GHz帯は、TDD方式を用いる事業者に対し割当が予定されており、現在はアイピーモバイルが割当を希望している。

不具合は“知らないうちに自動修正”

 携帯電話ビジネスの最大のリスク──それが不具合だ。こと機能の増大に伴い、ソフトウェアの不具合が増加している。ショップに電話機を持って行かなくても、無線通信でソフトウェアを更新する機能を各社が導入し始めている。

 ドコモに続き、KDDIも無線ソフト更新機能「ケータイアップデート」を導入(6月23日の記事参照)。しかも、操作に失敗すると携帯が壊れてしまうドコモ(6月20日の記事参照)と異なり、更新途中にトラブルがあってもデータなどを復旧する機能や、ユーザーの操作なしで自動的にソフトウェアを更新する機能を搭載した。

 KDDIはこの仕組みを機能追加にも使うことを検討しており、寝ている間に不具合は直るわ、機能は追加されているわ……といったことも現実になるかもしれない。

メール、ブラウザ──すべてはBREWに

 KDDIは、現在ゲームなどに使われることの多いBREWというアプリケーション実行環境上で、メールソフトやブラウザといったアプリケーションも動かす計画だ。WIN端末の夏モデル、「W31T」と「W32SA」が第1弾となる(6月21日の記事参照)

 これまで端末ごとに開発していたメールソフトやブラウザソフトを、BREWという“OS”の上で動かすことで、開発期間の短縮が図れる。また、バグも出にくくなる。

 一方では、例えば新規参入メーカーも簡単に端末を作れることになる。既存の端末メーカーは、これまで以上に差別化を考える必要が出てくるだろう。

4G実験進む──既に1Gbps

 FOMAやCDMA 1Xといった3Gは根付いてきた(6月16日の記事参照)。次の4Gに向けて、なんと1Gbpsという速度を持つ通信方式の研究が進んでいる。

 ドコモは、屋外の移動環境で1Gbpsのパケット通信に成功した(6月23日の記事参照)。これは、無線LANなどに使われているOFDMという技術を使ったもの。現在のFOMAの20倍もの無線帯域を使って実現した。

 OFDMは複数の波を使って情報を送信する技術だ。ドコモの実験では、実に764本の波を使っている。複数の波を使うことで、1本当たりの波で送る情報量は少なくなり、結果、建物などへの反射などに強くなる。さらに4本のアンテナを使って送受信する、MIMOという技術も使った。4Gは、2010年には実現する見込みだ。

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