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2005/06/14 21:14 更新


ソニーコンピューターサイエンス研究所でUIの未来を考える (1/3)

最先端の研究成果が発表される、ソニーCSLのイベント「Open House 2005」。モバイルの可能性を広げる、UI関連の研究を中心に紹介する。

 ソニーグループの中で、独創性のある研究を担当する組織。それが「ソニーコンピューターサイエンス研究所(CSL)」である。CSLは1988年に創立され、コンピューターサイエンスはもちろん、近年では脳科学やシステム生物学、金融工学にまで研究の裾野を広げている。今すぐにでも製品化可能な先端技術から、ノーベル賞級の基礎研究までもが集まるユニークな研究所だ。

 6月10日、CSLが都内の同研究所において関係者向けの研究公開イベント「Open House 2005」を開催した。ここではOpen House 2005で見つけたユニークな研究をいくつか紹介し、モバイル分野での可能性について考えてみたい。

サムネイルを見やすくする「筆記体コンテンツ」技術

 CSLの研究テーマの中でも、実用化に近い場所にあるのがUI(ユーザーインターフェイス)関連の研究・技術である。今回のイベントでも、様々なUI研究の成果が発表されていた。

 中でも筆者がユニークと感じ、注目したのが、「Cursive Contents(筆記体コンテンツ)」と呼ばれる特徴抽出・変形技術である。

 「筆記体コンテンツでは、写真や映像で重要な部分を抽出し、そこを拡大したり、切り出したりします。例えば写真ならば、人の顔や(写真の)中心テーマとなる物体を強調し、それ以外の表示領域を狭くします」(飛田博章・CSLインタラクションラボラトリー アシスタントリサーチャー 工学博士)

 その応用例として考えられるのが、携帯電話など液晶画面の小さなデバイスにおけるサムネイル表示だ。筆記体コンテンツ技術では、人の顔や中心テーマの物体は大きく表示されるため、写真を小さく表示しても「(写真として)何が写っているのかはわかる。多くの情報を表示した際の一覧性を向上させられます」(飛田博士)。

 一方、映像分野では時間軸における映像の変化や、映像の特徴を抽出する事ができるという。

 「例えば録画したサッカーの番組の再生では、ゴール直前や(動きの激しい)攻防戦、選手のアップ映像を抽出します。ハイライトシーンは通常スピードで再生し、そうでない部分は再生スピードを上げる事で、見どころを中心としたダイジェスト再生が可能になります」(飛田博士)

 放送局が主導的に推進する「サーバー型放送」でも、テレビ番組のダイジェスト再生機能が検討されているが、それは番組内情報を記録したメタデータを用いる仕組みだ。一方で、筆記体コンテンツのアプローチでは、端末機能として見どころの抽出、映像のダイジェスト化が可能だ。

 「抽出条件としては映像の動きのほかに、特定の映像パターンとのマッチングも可能です。例えば好きなタレントの顔情報を登録しておけば、『好きなタレントが画面に映っている時間』を中心にしたダイジェスト再生もできます」(飛田博士)

 今後、携帯電話でも映像を見る機会は増えるが、その時に問題となるのが、バッテリー持続時間へのインパクトである。また携帯電話の利用シーンを考えても、固定テレビ向けの1時間番組をそのまま見るというのはナンセンスだ。少なくともメモリーカードに録画したものは、ダイジェスト化をして見たいだろう。

 さらにDVD/HDDハイブリッドレコーダーの普及から、テレビ番組の「見たい場所だけ見る」という視聴スタイルも定着するだろう。これらの要素を考えると、筆記体コンテンツ技術の持つダイジェスト版の生成機能は魅力的だ。

 「(筆記体コンテンツ技術の)CPUに対する性能要求はそれほど高くありません。ソニーの製品ならば、VAIOはもちろん、PSXやスゴ録などでも十分に実装できます。将来的には携帯電話への実装も可能です」(飛田博士)

ay_sony01.jpg
「筆記体コンテンツ」による画像の強調化サンプル。右上のオリジナル画像に対して、人物の姿の部分のみが拡大され、背景部分は縮小されているのが分かる(上)。「筆記体コンテンツ」の映像抽出サンプル。サッカーの試合映像のうち、動きの激しいシーンや選手のアップ画面の部分(黄色の部分)が抽出されている。抽出した前後は通常再生され、変化の少ない(緑色)の部分は早送りされる事で、“見せ場”を集めたダイジェスト版を作れる(下)

情報を触る“アナログ的”手法、PreSense

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[神尾寿,ITmedia]

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