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2005/05/26 09:43 更新

神尾寿の時事日想:
GPS携帯が進化させる「災害伝言板サービス」

携帯電話で利用できる災害伝言板サービスが根付き始めている。現在はメッセージをやりとりするシステムだが、携帯のGPS機能と連携することで、利用価値はさらに高まるのではないか。

 5月23日、サイバーブレインズが「『大規模地震の発生』に関する不安と『災害伝言板』の利用意向」の調査結果を発表した(5月25日の記事参照)。同調査によると、回答者の84.3%が携帯電話で利用できる災害伝言板サービスが有功であると回答しているという。

 災害用伝言板サービスは、2004年1月からNTTドコモが運用を開始し、その後、KDDIやボーダフォン、ツーカーセルラーも同様のサービスを開始。新潟の集中豪雨や中越地震などで活用され、認知度が高くなった。日本が地震大国である事を考えれば、“いざという時”のニーズは大きい。

 現在の災害用伝言板は、安否情報を書き込み、電話番号をキーワードに検索。メッセージのやりとりで安否を確かめ合うシステムだ。被災地では電話が輻輳(ふくそう)するのが常だが、それと比べればデータ通信はトラフィックの急増に対処しやすい。また固定網と異なり、携帯電話は基地局が無事もしくは復旧させられれば、被災地でも広い範囲で通話・通信が利用できるようになる。NTTドコモを筆頭に各キャリアは、通信衛星と直結する移動基地局車や非常時用の電源供給車(発電車)を所有、災害に備えている。サービス、インフラの両面で携帯電話を使った災害伝言板サービスは、「非常時に強い」ものと言えるだろう。

 今後の発展性でも、携帯電話は有望だ。

 先日のコラムで、2007年4月以降、携帯電話へのGPS機能搭載が義務づけられる方向だと紹介したが(5月23日の記事参照)、GPS機能は災害伝言板でも活用できる。

 実は、その先行事例もある。あるKDDI関係者によると、過日の新潟中越地震の時、KDDIのGPS携帯電話を使った社員の動態管理システムを導入していた企業が、被災時の安否確認にGPS位置確認機能を使ったという。

 「(動態管理システムの)想定外の使い方ですが、被災地に居住する社員のGPS携帯電話が移動しているなら無事、1カ所から動かなければ万が一という事もあるので、個別連絡してみるという使い方をしたそうです」(KDDI関係者)

 auの携帯電話では、ビジネス向けでなくとも、GPS機能の検知・通知機能が搭載されている。また他キャリアも、2007年以降はコンシューマー/ビジネスを問わずGPS搭載が進んでいく。

 被災時、多くの人がまず知りたいのは、家族や友人、社員・同僚が「無事か」と「どこにいるのか」である。例えば、被災時には各携帯電話の位置検知・通知機能がONになり、災害伝言板に自動的に位置情報をアップロード。あらかじめ許可した家族・友人、会社の人間ならば、その位置情報が見られるという仕組みを作ったらどうだろうか。「位置情報の自動通知」ならば、仮に自らの力で災害掲示板に書き込みができない状態でも、許可した相手が位置情報とその動きを見ることによって、安否確認や捜索・救助の要請ができる。

 また、子どもや高齢者など、リテラシーのハードルで災害伝言板サービスが利用できない層の安否・居場所確認にも、災害時の位置情報自動通知機能は役立つはずだ。

 まずはGPS携帯電話の普及するauが、そしてドコモやボーダフォンも2007年4月以降のGPS搭載義務化にあわせて、被災時の「GPS位置情報自動通知機能つき災害伝言板サービス」を用意してはどうか。地震大国の日本において、それはユーザーにとって有益で、人の命を救うこともできるサービスになるはずだ。

[神尾寿,ITmedia]

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