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2005/05/25 03:49 更新


今、ボーダフォンに必要なのは「ビジョンと意志」

減収減益の決算報告を行ったボーダフォン。決算報告の場で津田志郎会長は、同社を取り巻く現状と課題について語った。

 ボーダフォンは5月24日、2005年3月期の決算を発表した(5月24日の記事参照)。前年同期比で営業収益が−11.2%、経常利益が−15.4%と減収減益の決算となった。

 来期の業績予想は公表せず、「厳しい環境になると言わざるをえない」とだけ答えた会長の津田志郎氏。ボーダフォンは現状をどのように分析し、今後をどのように考えているのだろうか?

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ボーダフォン会長の津田志郎氏

プリペイド契約者など、低額利用者が多い

 ボーダフォンの2004年度を振り返ってみよう。契約数の純増は1.7%、8万9300契約。ちなみに2003年度には、契約純増17.7%、103万9000契約となっている。

 3G契約者数は91万7200契約で、累計契約数の6.1%。プリペイド契約数は約11%(2005年3月末)で、2004年3月末の9%から増加している。

 ARPU(ユーザー1人当たりの月間平均収入)の減少も深刻だ。2004年度上期に6280円だったものが、下期は6020円だ。「高ARPUユーザーが他のキャリアへ流出している上、プリペイド携帯ユーザーなど低額利用者が多い。非音声ARPUが21.5%に留まっていることも影響している。また、3Gへの移行もうまく行かず、他社と差が付いてしまった」(津田氏)

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2003年には30%あった純増シェアは減少、前年度比-7.6%と非常に苦しい状況にある。累計市場シェアも17.3%と、2003年以来徐々に減少している(左)。一時期8000円近かったARPUは、6020円まで落ち込んでいる。データARPUが伸びず、音声ARPUも減っている(右)
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解約率は1.9%、買換率は2.6%。「安定的に推移している」(津田氏)

ボーダフォンが抱える課題

 単純に「ユーザー数×ARPU=収益」とするならば、ユーザー数かARPU、最低でもどちらかを増やさなくては、通信事業での収入増は見込めない。

 ユーザー数を増やすには、新規ユーザーを獲得し、既存のユーザーを離さないプランが必要になる。しかし「ドコモはおサイフケータイ、auは着うたというサービスでイメージ付けられているが、今のボーダフォンにはそれに代わるサービスがない」(津田氏)とボーダフォン自身も認めるように、新規ユーザー獲得に欠かせない、新しい魅力あるサービスを打ち出せていないのが現状だ。

 3Gへの移行につまづいたのも苦しい理由の1つだ。世界共通仕様の3G端末について「残念ながら、ユーザーからいい評価を得られなかった。日本で使われていたものとユーザーインタフェースに大きな隔たりがあったし、また、日本でそれまで使われていた機能が犠牲になっていた」とコメント。

 音声ARPUが減っているのは他社も同様だが、データARPUがほとんど伸びていないのは痛い。ボーダフォンでは2004年からパケット定額制「パケットフリー」を導入しているが、その理由は「すでに他社が先行していたため。顧客が流出しないよう、他社への対抗上導入した」(津田氏)

 6月1日からは「メール定額」「家族間通話定額」も開始する(4月20日の記事参照)。定額制を導入すればARPUは下がるが「短期的にはマイナスのインパクトを与えるが、中長期的には顧客の獲得につながると考えている」(津田氏)

事業者名2005年3月2006年3月見込み
NTTドコモ7200円6770円
KDDI6960円6810円
ボーダフォン6020円非公開
3キャリアのARPU(音声+データ)を比較した。定額制の導入などが影響し、ドコモもKDDIもARPUは今後減少すると予測している

 「今後3年、5年の御社のビジョンは?」という問いに、「今まさにそれをまとめる作業をしているところ」と答えた津田氏。業績回復のためには、ユーザー数を増やす、あるいはARPUを上げるための具体的な方策を今すぐまとめ、強い意志を持って実行に移すことが急務といえるだろう。

[吉岡綾乃,ITmedia]

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