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連載
2005/05/20 10:07 更新

神尾寿の時事日想:
学校コミュニティに必要なIT化と、そこにある潜在市場

個人情報保護法の施行により、連絡網がなくなる学校が増えてきている。電話連絡の代わりに、携帯メールシステムが登場するなど「学校のIT化」という新市場ができ始めている。

 5月16日、ドリームエリアが教員やPTAなどの学校関係者が、警察などから送られてきた不審者情報などを保護者に配信できる携帯向けASPサービス「まちcomi・メール配信サービス」を発表した(5月16日の記事参照)

 昨今、治安の悪化から“学校の安全”が取り沙汰される事が多く、まちcomiもまず、不審者情報配信というセキュリティ面のサービスをアピールしている。しかし、筆者が特に注目しているのは、まちcomiが学校からの連絡メール配信にも対応している点だ。

 すでにいくつかの全国紙でも取り上げているが、個人情報保護法の施行により、連絡網の扱いが問題になっている。子どもの名前と電話番号、時として住所までまとめて記載されているペーパーメディアは、それだけで名簿業者にとって都合のいい情報源になりえるからだ。ダイレクトメールはもちろん、振り込め詐欺や、さらに悪質な子どもを狙った犯罪を抑止する観点からすれば、連絡網や卒業アルバムなどにおける「個人情報」の記載は即刻やめた方がいいだろう。

 また、そこまでシリアスな理由でなくとも、連絡網による電話連絡は時代に合わなくなっている。各家庭のライフスタイルは多様化・個人化しており、「家に電話をしても繋がらない人が多い、と、最近では連絡網制度そのものへの不満の声も聞くようになった」(私立校教員)という。

 その点、まちcomiのようなメール配信ならば、連絡事項は一斉通知されるため、連絡網のようなセキュリティ上の不安や、ライフスタイルのズレによる利用者の負担から解放される。学校からの「お知らせ」類もメールに移行すれば、紙資源の節約、コスト削減にも一役買うはずだ。他にも、保護者から学校へのニーズを集めたり、担任教師・保護者間のコミュニケーション用途で携帯電話のメールや掲示板サービスを活用することもできる。

 これらの学校コミュニティでのITサービス導入では、各家庭ごとにデジタル格差が生じないためにも、ユーザー端末はまず携帯電話からになるだろう。

 学校のIT化は、「パソコン室の設置」だけではないはずだ。運営面で積極的に活用すれば、保護者の顧客満足度向上や、業務効率の改善、中長期的なコスト削減が可能になる。少子化の中で、私立校だけでなく公立校でも教育・サービスの両面で競争が起きることを考えれば、学校向けモバイルソリューションの潜在市場は小さくないはずだ。

[神尾寿,ITmedia]

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