2005年度中にはHSDPAを商用化〜Nokia

» 2005年04月28日 22時04分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 端末メーカーとして、昨年頃から日本市場に本格参入してきたイメージが強いNokiaだが、ネットワークベンダーとしては、ボーダフォンの3Gネットワークを手がけるなど、以前から活動を展開している。

 ネットワーク事業者としてのNokiaにとって、2004年はどのような年であり、そして2005年はどのような展望を持っているのか。また日本市場はNokiaにとってどのような位置づけなのか、アジアパシフィックの責任者であるラジーブ・スリ氏に聞いた。

2007年には、固定と携帯が半々になる

 ラジーブ・スリ氏はNokiaのネットワーク事業部で、アジアパシフィックエリアを統括する立場にある。アジアパシフィックとは、アジア・太平洋地域の中から、中国、台湾、香港などを外したエリアを指している。「3G先進国と、携帯電話の普及という面で見ると後発の国とが混じり合ったエリア。日本は最も進んだ先進国になる。2004年に日本におけるボーダフォンの3Gネットワーク構築によってさまざまなノウハウを得たことは、Nokiaにとっても貴重な経験だった」(スリ氏)

 2004年は成長の年だった、とスリ氏は振り返る。「世界的に見ても、ネットワークが成長してきて、サービスも多様化してきた。3G先進国での経験を生かすことにより、2005年には3Gは世界的に成功するだろう。今年(2005年)中に、100カ国で3Gネットワークが始まると予測している」

 Nokiaの調査によれば、2004年末時点で、携帯電話の利用者数は全世界で約17億人。2005年末には20億人、2010年末には30億人に達すると予測している。

 もう1つの変化が、固定から携帯への移行だ。Nokiaの予測によれば、2007年に固定と携帯の契約者数の割合は5:5になるだろうという。「携帯人口が増えるにつれて、生活がモバイル化し、固定から携帯への移行が進むだろう。後発国では、固定普及のステップなしで、いきなり携帯が普及する状況も考えられる」(スリ氏)

2007年上半期にはHSUPAの商用化を

 Nokiaの2005年のテーマとして、スリ氏が挙げるポイントは3つある。

 1つは、携帯キャリア(オペレーター)にとって利益を上げやすいサービスを提供することだ。特に日本はオペレーターが強いマーケットであり、オペレーターのニーズを常に理解し、協業していくことが大事だという。「日本は3Gへの移行という点で最先進国であり、日本で起きたことはほかの国でも起きる。テストケースとして非常に重要」

 2つ目は、無線テクノロジーの強化だ。スリ氏は3GとWi-Fiのデュアルモード(マルチラジオ)への対応は避けられないと見ているという。「ユーザーはより速く、より安いデータ通信を求めている。ビットあたりのコストを下げ、データ量の多い通信を安く提供する必要があり、それにはW-CDMAが適している。W-CDMAは世界中で急成長するだろう。ネットワーク事業者はマルチベンダーへの対応能力を求められることになるが、これまでもマルチベンダー、マルチテクノロジーでやってきたNokiaにとっては有利な点だ」(スリ氏)

 もちろん、3Gの次のステップ(3月4日の記事参照)への準備も必要になる。HSDPA(High Speed Download Packet Access Solution)は各社の課題だが、Nokiaでは2005年度中に商用化する予定だ。また、W-CDMAをベースにしたシステム「I-HSPA(Internet-High Speed Packet Access Solution)」を実験中で「大容量データ通信を行うユーザーにも対応できる通信方式。今は実験段階だが、2007年上半期の商用化を目指している」という。

新規事業者にも期待

 今後はノキアジャパンのスタッフを増やし、さらに注力していく。かつてNokiaのネットワーク部門ではハードウェアを納入するまでが仕事で、そのあとはオペレーターに任せるやり方が普通だったが、ボーダフォンとの3Gネットワークでは、ハードウェア納入後も運営、メンテナンスなども請け負っているという。

 「ボーダフォン以外の事業者と組む可能性は?」という質問に対しては、「既存の事業者と、新規に参入する事業者の両方と話をしている。具体的な契約案件までは行っていないが、新規事業者とも話し合いをしており、(新規参入事業者に)期待している」と答えた。

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