誠

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2005/04/22 11:44 更新

神尾寿の時事日想:
携帯音楽プレーヤー化の準備が整ってきた

携帯電話で音楽を聴く──少し前まではおまけ的な機能だったが、最近では端末のメインテーマともいえる課題だ。本格的な「音楽ケータイ」実現に向けた取り組みが活発になってきている。

 4月21日、三洋電機が携帯電話向けの音源LSI事業に参入すると発表した。これは同社の低消費電力技術に裏打ちされ、いわゆる「音楽ケータイ」で長時間の利用を可能にするという(4月22日の記事参照)

 音楽ケータイに向けた動きはここ最近活発になってきた分野で、auのW31SやドコモのMusic PORTERを筆頭に、市場開拓の努力が続いている。先にエイベックスネットワークが設立した「High Definition Sound Laboratory」のように(4月11日の記事参照)、音楽ケータイ時代を視野に入れたレーベル側の取り組みも始まった。

 音楽ケータイの強みは、リッピングしたCDの音楽だけでなく、音楽配信サービスやCDの物販、機種によってはFMラジオ機能まで統合されていることだ。大型のカラー液晶と通信機能が装備されているので、著作権の問題さえクリアーすれば、「リッピングした音楽CDのジャッケット写真や歌詞を見せる」こともできる。

 音楽ケータイのボトルネックは、「PCリッピングを前提とするためにユーザーが限定される」と「バッテリー持続時間への悪影響」の大きく2つだった。しかし今回、三洋電機が発表した低消費電力型音源LSIのように、デバイス側での消費電力削減が進めば、後者の問題はクリアーされる。前者の問題にしても、PCユーザー層の漸減的な拡大と、ホームオーディオの音楽ケータイ連携の強化が進むことで、解決されていくだろう。携帯電話が「携帯音楽プレーヤー」になる準備は、着々と整ってきているのだ。

 是非はあれど、日本の携帯電話販売はインセンティブモデルで回っており、ユーザーは、高機能な割に低価格でケータイを買うことができる。デジタルカメラがそうであったように、音楽機能もまた、とくに若年層を中心にしたコンシューマー層にとっては、携帯の標準的な機能になっていく可能性が高い。低価格でベーシックな機能を持つ“カジュアルな”ポータブルオーディオ市場が音楽ケータイに飲み込まれていくというストーリーは、非常に現実味がある。

 音楽ケータイは、日本メーカーが得意とする省電力技術や小型化技術がフル活用できる分野である。アップルコンピューター「iPod」を筆頭に海外メーカーに押され気味なデジタルオーディオ市場で、日本勢が巻き返す足がかりになるかもしれない。しかし、iPodに勝つためには、デバイスレベルでの技術力の高さに加えて、ソフトウェアやUI面での開発力が不可欠だ。日本メーカーの努力に期待したい。

[神尾寿,ITmedia]

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