ターゲットは30代〜40代のビジネスマン〜ビジネスFOMA「M1000」(1/2 ページ)

» 2005年04月14日 20時08分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 「ビジネスFOMA」第1弾は、モトローラ製端末「A1000」をベースにした、Symbian OSベースのスマートフォン、「FOMA M1000」だった(4月14日の記事参照)。iモード機能は搭載せず、テンキーもない、これまでのFOMAのデザインと比べるとかなり様変わりした印象の端末だ。“ビジネス”FOMAに必要な機能とは、そしてその目指すところは──NTTドコモの狙いを探っていこう。

NTTドコモプロダクト部の田村穂積氏

セキュリティと柔軟性が大切

 ビジネス向けの端末に求められる、最も大事な機能とはなんだろうか。NTTドコモプロダクト部の田村穂積氏は、「まずセキュリティ。紛失したときなどに中のデータを消すなど、この手の機能は必須だと考えていた」と話す。

 セキュリティの次に求められる機能は「アプリを自由に入れられる柔軟性」と考えているという。M1000はOSにSymbian OS 7.0を採用しており、ユーザーはJavaやC++で書かれた対応のアプリケーションを自由に追加することができる。NTTドコモでは開発キットを無償公開する予定だ。「Symbian OS Series 60」を採用したボーダフォンの702NK(Nokia 6630)が、セキュリティ面での配慮から、Symbianの証明書のないアプリケーションはインストールできないようになっているのとは大きく異なる。

 自由にアプリケーションが追加できるとなると、ウィルス感染などを心配する声もあるだろう。M1000ではMcAfee製のウィルススキャンソフト「セキュリティスキャンLight」が採用されている。定義ファイルのアップデートはユーザーが能動的に行わなくてはならないが、その場合にかかったパケット通信料には課金されない。

ターゲットは30〜40代のビジネスマン

 ビジネスFOMAのターゲットは、その名前が示す通りビジネス市場だ。携帯電話の普及率が高くなるに従って新規顧客の増加が伸び悩んでいるため、新しい市場として着目したのが“ビジネス向け携帯”、つまりビジネスFOMAということになる。

 田村氏はM1000のターゲットユーザーについて、「30〜40代の、ITリテラシーが高いビジネスマン。FOMA N900iGに続き、海外でもそのまま使える端末ということで、海外出張が多い人には便利に使ってもらえるはず」と話す。

 M1000にはiモード機能が搭載されていない。その理由について田村氏は「載せることもできたが、今回はやめた。PDAと携帯が融合した新しい端末ということで、従来のiモードとは違う路線にしたかったから」と説明する。iモードに代表される従来の携帯サービスが、コンシューマー用途中心で若者向けであったことを思うと、M1000がターゲットとしているところと正反対であることが分かる。

M1000のターゲット。従来の携帯電話市場が、若者・コンシューマ層中心だったことを考えると、まったく逆だ。「片手でテンキーを打ってメール入力」と「持った手と逆の手でスタイラスを使って入力」と、利用スタイルも大きく異なる

 iモードには対応しないが、PC用サイトを閲覧するため、フルブラウザ「Opera」を搭載している。既報の通りパケット定額制には対応しておらず、「パケットパック90などを使ってほしい」としている。パケットパック90は、携帯のビジネス利用拡大を狙って、4月1日から開始した新しい割引サービスだ(2月15日の記事参照)

 ビジネスで使われることが多いということで、オフィスアプリケーションとの連携を重視している。BluetoothやUSB経由でPCに接続でき、標準搭載のスケジューラ、メールソフト、アドレス帳はOutlookと同期ができるようになっている。このほか、Word、Excel、PowerPoint、PDF用のドキュメントビューワを標準搭載しており、メールソフトの添付ファイルも閲覧できる。電子辞書(国語、英和、和英)やボイスレコーダーといった機能もビジネスマン向けといえる。

 実は、NTTドコモがPDAタイプのFOMAを出すのはこれが初めてではない。以前シャープ製端末「SH2101V」を出しているのだ(2002年8月9日の記事参照)

 SH2101VとM1000の違いについて田中氏は「M1000では、mopera Uというネットワークサービスと合わせての提供になる。端末だけではなくもっと総合的な製品になった、そこが大きな違い」と説明する。

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