前回、携帯電話には1G、2G、3G……といった区別があり、「G」とはGenerationの略で、世代を意味することを説明しました。さて今回は、日本の携帯電話がいま何Gに当たるもので、具体的にどのような通信方式を採用しているのかを見ていきましょう。
日本ではすでに1G、つまりアナログ方式の携帯電話はもう使われていません。アナログ方式の携帯電話(最初は移動電話と呼んだ)は、1979年12月に電電公社(当時)が開始した自動車電話が始まりです。その後、持ち歩きができる電話機(肩から提げた)が開発され、1987年からは「携帯電話」サービスが開始されます。
電電公社は1992年に民営化され、このときに携帯電話関連の事業は、NTT移動通信網(NTTドコモ)に引き継がれました。このアナログ携帯電話方式は、HiCapと呼ばれる方式を採用していましたが、NTTドコモは1999年3月にアナログ方式を終了しています。このほか日本移動通信(現KDDI)などは、米国のTACS方式を採用しましたが、これも2000年9月に終了。これで国内ではアナログ方式はすべて終了しました。
従って現在日本国内で使われているのは、2Gおよび3Gだけです。このうち最も多いのが2Gの携帯電話で、これには日本独自のPDC(Personal Digital Cellular)と、米国のIS-95という方式であるcdmaOneの2種類があります。3GにはW-CDMAとCDMA2000の2つがあり、さらにPHSもあり、日本ではデジタル方式として5つの種類が使われていることになります。
世代 | 内容 |
---|---|
2G携帯 | PDC(NTTドコモ、ボーダフォン、ツーカー)、cdmaOne(KDDI) |
3G携帯 | W-CDMA(NTTドコモ、ボーダフォン)、CDMA2000(KDDI) |
PHS | ウィルコム、NTTドコモなど |
2Gのうちで、もっとも広く使われているのが日本独自のPDCと呼ばれる方式で、NTTドコモのほかに、ツーカーやボーダフォンが採用しています。3Gには、前回解説したようにW-CDMA方式(NTTドコモ、ボーダフォン)、CDMA2000(KDDI)の2つがあります。今回は、2G方式について解説します。
PDC方式とは、TDMA-FDDと呼ばれるカテゴリに属する技術です。どういうものかというと、通信の上りと下りで違う周波数を使い(FDD:Frequency Division Duplex)、時間を細かく区切って、同じ周波数を複数の端末で共有できるようにする(TDMA:Time Division Multiple Access)方式です。
上りと下りでなぜ別々の周波数が必要なのかというと、電話は接続している双方向が同時に話す、つまり、送信と受信を同時に行えなければならないためです。もしこれを同じ周波数で行うと、自分が送信している電波を受信してしまうことになります。自分が送信している信号は、ほかの信号を隠してしまうほど強い信号になってしまい、相手からの(正確には基地局からの)電波を受信することができなくなってしまうからです。
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